職員に対する愛情をどこで見るか

人手不足の業界にあって、人材確保と定着はとても重要な経営課題です。

 

どこの法人施設も人材確保や定着に力をいれているように見えますが、

 

実態としては、離職率や充足率は実に様々です。

 

一体、何が違うのでしょうか。

 

 

 

私は、経営層がどれだけ職員に対して愛情を掛けているか、それを実際に

 

予算に落とし込んでいるかによって、離職率に違いが出るものと考えています。

 

 

それを端的に示すのが、福利厚生費と研修・研究費の多寡です。

 

福利厚生費と研修・研究費に掛ける金額が、職員に対する愛情を測るバロメータ

 

ではないかと思っています。

 

職員に愛情をかけている法人では、決算書をみると福利厚生費や研修・研究費

 

に数百万円の費用を投じています。そして、派遣費や人材紹介料には、それほど

 

お金は流れていません。

 

「卵が先か、鶏が先か」の話にもなるかもしれませんが、

 

福利厚生費や研修・研究費にお金を掛けて職員に愛情を注いでいる法人は、

 

離職率が低いので、結果、生産性が高くなります。

 

 

一方、利用者中心の施設、事業所は福利厚生費や研修・研究費に年間数万円

 

しか使っていないことが多いようです。多くても数十万円程度です。そして、

 

派遣費や人材紹介料に数百万円、場合によっては千万単位ものお金が流れています。

 

派遣や紹介料に多額のお金が掛かっていることは、離職率が高いと考えられます。

 

離職率が高いと生産性は上がりません。

 

時間をかけて折角教え込んだ職員が辞めるとまた、次に入ってきた職員に同じような

 

時間をかけて教えなければなりません。その繰り返しが多いほど、現場は疲弊します

 

し、結果として生産性も上がりません。

 

 

 

職員に対する愛情にウエイトを置いている法人では、経営層だけでなく、事務所で

 

働く事務員も現場スタッフに愛情を傾けているように感じます。

 

現場スタッフが安心して働けるよう、良好な職場環境になるよう腐心しています。

 

そもそも間接部門は、直接、収益は産まない部署ですので、日銭を稼いでくれる

 

現場スタッフが働きやすいように務めるのが使命です。

 

そこが分かっていないで、単に締め付けるだけのような総務や経理事務員を見かける

 

ことがありますが、これは本末転倒と言えるでしょう。

 

 

 

経営層が職員に愛情を掛けるのは、職員の成長を願った研修・研究費や福利厚生の

 

充実ですが、事務部門が職員に対して愛情を掛ける方法もいくつか考えられます。

 

 

福祉医療機構や県の退職共済制度に加入している社会福祉法人は少なくありません。

 

株式会社であっても中小企業退職共済に加入しているところも多いでしょう。

 

当然、法人負担、会社負担が発生しているわけですから、職員一人当たり年間どれ位

 

負担しているか、その金額を個々の職員に明示して、給料明細に表れない、こうした

 

法人からの愛情部分をしっかり伝え切ることも、事務部門の大事な仕事ではないで

 

しょうか。

 

加えて、今年辞めれば退職金がいくらだが、来年まで勤続すれば退職金がいくら増える

 

といった情報も定期的に伝えてあげられると良いと思います。

 

そのようなことが、退職や転職を考えている職員を思い留めさせることにつながるかも

 

しれません。

 

こうした考え方をベースに一つ一つ実践することが、職員に対して愛情を示すことになり、

 

職員の定着へとつながっていくのではないかと、しみじみ思う次第です。

 

 

 

以上、皆様のご参考になれば、誠に幸いです。

お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。

次の第４3号は、来年１月10日頃に配信致します。

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