福祉介護事業の経営者・施設長のためのメルマガ通信第36号 (2021.6.11)
《今月のテーマ》
介護福祉施設におけるナースの役割
特養や老健などの介護保険施設では、ナースの配置が義務づけられています。
ナースの人員不足もあってか、最近では、配置基準が緩和されるようになりましたが、それでもまだまだ、ナースの配置が必置になっている事業は、少なくありません。
今から20年位前、特養がまだ、医療依存度の低い利用者中心だった頃、特養にナースの配置が、本当に必要なのかと疑問に思っていたことがあります。
なぜなら、病院勤務中心のナースが、介護施設に配置されることで生じる運営上の難しさや組織としての一体感の欠如といった、デメリットの方が大きいのではないかと感じていたからです。
しかし、あれから20年、医療依存度が高い利用者が増えてしまった現在、ナースの配置は要らないなどと言ったら、だれも相手にしてくれないでしょう。
コンサルで介護施設や障害者施設に係わっていますと、実に多くの施設で介護職と看護職のあつれきや連携の難しさを感じさせられます。
実際そのような悩みをお持ちの経営層の方も、多いのではないでしょうか。
具体的に挙げると
・医務室にこもって現場(利用者)を見ようとしない。
・服薬管理だけが自分達の仕事だと思っている。
・現場の介護職や支援員に対して、上から目線で指示命令しかしない。
などなど。
背景には、病院でのヒエラルキーが、そのまま介護福祉施設に持ち込まれてしまうことにも原因があるかもしれません。
病院では、介護職は看護助手の立場ですので、そこには、明確な上下関係が存在します。
ですが、介護福祉施設は、病院のような資格者によるヒエラルキー社会ではなく、どちらかというと一般企業に似ています。
少なくとも一般企業のような組織の方が適しているように思えます。
そこに、あつれきが生じてしまう一因があるのかもしれません。
介護福祉施設は、利用者に介護サービスや福祉サービスを提供するのが本業です。
当然ながら、介護サービスや福祉サービスが主体でなくてはなりません。
そうすると、ナースは、良質な介護サービスが提供されるよう、後方支援に回って、介護職をフォローすることが、運営上うまくいく秘訣ではないか。
こうしたことを良く理解している、ある看護師は、「私たち特養のナースは、病院のナースとは違う」と常々部下スタッフに言って聞かせています。
彼女は、良質な介護サービスの提供には、「早期発見・早期治療」が原則であり、ナースがそこに注力することで、良質な介護サービスが提供でき、さらには、介護職の負担軽減にもつながると明言しています。
「早期発見・早期治療」を実現するためには、医務室を出て、現場(利用者)を見ることが大事になるでしょう。
服薬管理だけしていても、利用者の小さな変化には、気づくことはできないと思います。
また、彼女は「早期発見・早期治療」という利用者の健康管理だけではなく、介護職の健康管理もナースの重要な役割だと考えて、毎年の職員健康診断の計画から実施までを担っています。
ある会議の席上、40歳以上の職員が6割以上を占めているという分析をもとに、生活習慣病に重きを置いた検診内容へと見直すことが、職員の健康増進と勤続に寄与するのではないかと提案したことがありました。
当然、健康診断のコストが増えるわけですから、ある意味勇気の要る提案です。
しかしながら、目的は職員の健康増進と勤続なのです。
法人全体のことを考えていなければ、このような提案は生まれてこないでしょう。
確かに彼女は特殊な例かもしれません。
あるいは、私が知らないだけで、もっと素晴らしい施設ナースがいるかもしれません。
しかしながら、介護福祉施設のナースの役割を考える時、この例は、ひとつの参考になるのではないでしょうか。
今回は、施設におけるナースの役割について書いてみましたが、私はナースに限らず、施設で働くすべての専門職は、専門職である前に、まずは法人企業の目的と使命を理解しておく必要があると考えています。
そのためには、専門職に対する技術研修に終始するのではなく、自法人の目的や使命といった上位概念を植え付ける法人主催の研修が欠かせないと思っています。
以上、何かのご参考になれば誠に幸いです。
お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。
次の第37号は7月10日頃に配信致します。
以上、
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