デイサービス、黒字と赤字を分けるもの

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デイサービス、黒字と赤字を分けるもの

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2023/03/10 デイサービス、黒字と赤字を分けるもの

福祉医療機構の調査によると全国4割のデイサービスが赤字とのことです

 

「2021年度(令和3年度)通所介護の経営状況について」(WAM)

 

230119_No008.pdf (wam.go.jp)

 

また、東京商工リサーチによると2022年、1月~9月までの9か月間

 

の介護施設の倒産件数は、過去最高で100件、そのうち通所介護が45件

 

と約半数に上っています。

 

コロナによる利用控えが影響しているものと思われますが、今後コロナが落

 

着いても、電気・ガス等の調達コストや業務委託費の高騰により、経営が

 

ます厳しくなっていくのではないかと憂慮されます

 

デイサービスを安定的に黒字経営していくためにはどうすれば良いか。

 

ずばり、デイサービスが黒字になるか、赤字になるかの損益分岐は、

 

稼働率70%です。それは、先の福祉医療機構の調査レポートの分析でも

 

明確に指摘されていますし、倒産の原因も売上減少による営業不振がその

 

主な原因とされています。

 

株式会社等の営利企業、社会福祉法人のような非営利企業問わず、私が

 

全国で見てきたデイサービス事業所も、稼働率70%を割ると赤字に転落

 

するか、収支トントンのケースが多い傾向です。

 

施設長や経営者の皆様とお話をすると、ほとんどの方が稼働率の重要性

 

理解されていますが、その4割が赤字という実態はどうして生まれるので

 

しょうか。

 

乱暴な言い方をすると経営と現場がつながらないということになると思い

 

ますが、それでは、具体的に何をすればいいのでしょう。

 

これだけ飽和状態でデイサービス事業所が乱立している昨今、営業活動

 

必須です。まずは、自分たちのデイサービスの存在を知ってもらうこと

 

ら始める必要があります。

 

ケアマネは、自分が勤めている居宅介護支援事業所の近くにあるデイサービ

 

スしか使わないという実態があります。たとえ、サービス提供エリアであっ

 

てもその圏域の居宅介護支援事業所が、自デイサービスを知っているかどう

 

か、それを確かめてみる必要があります。

 

実際、近隣の居宅介護支援事業所にアンケート調査をすると、自デイサービ

 

スのことを知らなかったり、一度も利用したことがないという回答が返って

 

きて、衝撃を受けたりします。

 

ですから、まずは認知してもらうための営業活動から始めなければならない

 

と思うわけです。

 

また、特養などに併設されて、古くからやっているデイサービスの場合は、

 

る程度、近隣のケアマネが認知している場合もありますが、「あそこは特

 

があるので自分たちの中で完結しているから断られるだろう」といった思

 

込みがあったりします。あるいは、一度断られたからもう使わないという

 

ースも結構あります。

 

ですから、定期的、継続的に近隣の居宅介護支援事業所を営業訪問すること

 

でしか、新規利用者の獲得は難しいでしょう。

 

営業活動を管理者や生活相談員の仕事のルーチンに入れてしまうことが必要

 

になりますが、ただルーチンでこなすだけではだめで、明確な数値目標を掲

 

げて、その数字の達成を目指して、試行錯誤していくことが重要と思いま

 

す。

 

目指すべき数値目標とは何か。これは登録者数ということになります。

 

経験上、登録者数が定員の3倍位になると稼働率が85%を超えていきます。

 

30名定員の場合、登録者数は90名ということになります。くわえて、

 

1カ月間、1回も利用がなかった利用者は、登録者数から外す必要があり

 

ます。この数字をメンテナンスしないと、仮に登録者数が多くても稼働率

 

が上がらないという現象が起きます。

 

介護保険制度では、契約解除するタイミングが、ケアマネに委ねられてい

 

ますので、何カ月も利用しない人でもそのまま登録が継続することになり

 

ますが、これとは別に考えて、内部で登録者から外してしまわないといけ

 

ません。

 

こうしたことから、私は、介護保険の規程だけで運営していると経営が成り

 

なくなると考えています。これ以外にも、介護保険制度の運営基準だけ

 

に即した運営を続けていくと、経営が成り立たなくなる事例は多いと考えて

 

ます。

 

年間収入が8千万円程度のデイサービスだからと言って疎かにせず、しっか

 

りと経営分析をおこなって、稼働率はじめ、登録者数、利用者10人当り

 

員数、キャンセル率といった管理指標を把握し、あるべき適正値に近づけて

 

いくようなマネジメント力が、今、デイサービス管理者には求められている

 

ではないでしょうか。

 

 

今回は、「デイサービス、黒字と赤字を分けるもの」ということで書いてみ

 

ました。

 

以上、皆様の何かのご参考になれば、誠に幸いです。

 

お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。

 

次の第58号は、4月10日頃に配信致します。

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すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。

※感想やご意見は、当方の励みになりますので、是非宜しく

お願い申し上げます。

 

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