継続は力…ある法人の実践から学んだこと

福祉マネジメントラボ

046-890-0856

〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77

継続は力…ある法人の実践から学んだこと

メールマガジン

2024/11/09 継続は力…ある法人の実践から学んだこと

先月の26日、弊社の顧問先でもある法人の研究発表大会に招か

 

て和歌山県に行ってきました。この法人では、毎年、この時期

 

母体である医療法人と同じグループの社会福祉法人合同での研究

 

発表を開催されていて、もう30年以上も継続されています。

 

今年のテーマは「地域共生」ということで法人職員、来賓合わ

 

て120名以上の方が参加されました。

 

私自身、今回が2度目の参加でしたが、今年の研究発表では、私

 

6年間係わらせて頂いている「月次実績会議」についての発表

 

があるということで期待と不安とが入り混じった中での参加とな

 

ました。

 

ここで「月次実績会議」について補足の説明をしておきます。

 

A4一枚のフォーマットを使って、特養やデイサービス等の1カ月

 

間の「ヒト・モノ・カネ」動きを把握して、なおかつ、目標達

 

への進捗管理にも使える管理ツールで、一般には管理会計と呼ばれ

 

いるものです。

 

特養などで目標とする稼働率、離職率、収支差額率(利益率)等の

 

経営指標を毎月の実績と対比しながら、なぜその結果となったのか、

 

そのプロセス吟味検討し、修正改善を加えることで目標を達成して

 

いく会議体のことをこの法人では「月次実績会議」と呼んでいます。

 

今回、この「月次実績会議」を6年間続けた結果を研究発表大会で

 

発表してくれたわけですが、正直、想像を超えた素晴らしい発表で

 

私も大変感動しました。

 

この月次実績会議は、平成30年10月に始まり、令和6年10月時点

 

でちょうど丸6年、70回(月1回開催)を数えます。

 

導入前と導入後で何が変わったのか。数字を見て頂くのが分かり易

 

いので、まずは、プロセス指標の数字をお示ししたいと思います。

 

平成30年度 入院日数:1,299日 

令和5年度  入院日数: 636日 51%減

 

平成30年度 空床日数:1,584日 

令和5年度  空床日数: 706日 55%減

 

平成30年度 退居から新たな入居までの平均日数:24日 

令和5年度  退居から新たな入居までの平均日数: 5.5日 77%減

 

上記のような現場プロセスの改善が、結果稼働率向上、収入増に

 

なることはご承知の通りだと思います。

 

稼働率!稼働率!といくら叫んでみても、現場がこのプロセスを

 

改善してくれない限り、稼働率や売上収入が上がることはありま

 

せん。

 

平成30年度 特養ショート合算稼働率:96.3% 

令和5年度  特養ショート合算稼働率:98.8% 102%増

 

平成30年度 年間累計収入:298,959千円 

令和5年度  年間累計収入:312,576千円 105%増

 

彼ら現場は、この月次実績会議を通して「自分達が報告した数字

 

が何を意味して、そこから何を考え、どのようなアクションにつ

 

なげていくのか、自分達で考えながら主体性を持って行動するこ

 

との重要性について実感、体現してくれました。

 

こうしたことを体感すると、今度は自分の施設だけという縦割り

 

の閉じた考えから、他の施設・事業所がやっている良いところも

 

水平展開して法人全体に浸透させていこうという新たな発想が生

 

まれてきます。

 

さらには、次世代の職員にも現場と数字をつなげることができる

 

ようになって欲しいと、会議に出席させて勉強してもらおうとい

 

動きも出てきます。正に組織が良い方向に動き出した時の感覚、

 

点と点がつながって線となり、さらには面となっていく。これを

 

今回の発表では、見事に実感できました

 

発表された方は看護師ですが、現在70名定員の特養の副施設長の

 

立場の方です。7年前、私の管理職研修を受講する際に初めてお

 

いしましたが、その時は、正直、現場オンリーの専門職で、管

 

職としてのマインドとスキルをこれから身に着けてもらう必要

 

大いにあるなと感じました。同時に、場合によっては、現場

 

専門職としてのマインドから脱皮できないかもしれないなとい

 

危惧も感じたものですが、7年経った今、現場を巻き込んで数字

 

を作れる、つまり経営が分かる素晴らしい管理職へと成長されま

 

した。これが継続を力にする人材育成なんだなということをこの

 

法人と彼から教えて頂きました。

 

私が感動したことは、正にこの一点に尽きます。

 

 

彼は、発表の最後をこう締めくくってくれました。

 

「この月次実績会議が「VUCA]の時代、行先が不透明で将来の予測

 

が困難な時代を乗り切るチカラを養う場になっている。」

 

単なる専門職ではなく、組織全体の行く末を考えられる本当の管理職

 

の言葉ではないでしょうか。

 

私にはそのように感じられて嬉しくてたまりませんでした。

 

次の第78号は、12月10日頃に配信致します。

 

1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等

 

差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見

くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま

すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。

 

※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり

ますので、是非宜しくお願い申し上げます。

 

福祉マネジメントラボ

電話番号 046-890-0856
住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77

TOP