対人サービスの適性

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対人サービスの適性

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2025/03/11 対人サービスの適性

どのような職業であってもそれぞれの仕事の本質というもの

 

があるように思います。したがって、その本質が見えてくる

 

とその仕事の適性も見えてくるように感じます。

 

私は若いころ、コンピュータソフトのSE(システムエンジ

 

ニア)の仕事をしていましたが、SEにはどのような適性が

 

必要かと考えますと、一つは粘り強さではないかと思います。

 

コンピュータソフトの世界は、0、1のデジタルの世界です

 

ので、人間の思考回路とはずいぶん違います。そこにバグが

 

入り込む余地があるわけですが、このバグを見つけて修正す

 

る作業には、かなりの粘り強さが要求されます。

 

ちなみにプログラムが正常に動作しない原因をバグと言いま

 

すが、バグとは英語で虫を意味します。プログラムに害虫が

 

入り込んだということでバグと呼ぶようになったようです。

 

いずれにしてもプログラムの中に入り込んだエラーを見つ

 

けて、修正する作業をデバッグと言いますが、このバグを

 

見つける作業は、ただ時間を掛ければ見つかるというもの

 

ではなく、何日徹夜しても見つからない場合がありますの

 

で、かなりの辛抱強さ求められます。

 

そして、次に求められるのは技術者としての良心でしょう。

 

私が若い頃ですからだいぶ昔の話で恐縮ですが、その当時、

 

某メガバンクの全国にある銀行支店をネットワークで結ぶと

 

いうオンラインバンキングのプログラム開発をしていました。

 

メガバンクの全国にある支店を取り扱うわけですから、何百万

 

という口座にアクセスするわけです。

 

仮にその何百万もある口座から毎月1円ずつ自分の架空口座に

 

振り込むというプログラムをたった2~3行追加するだけで、

 

その架空口座には莫大な資金を流入させることができます。

 

その当時は、一人がいくつもの架空口座を持つことが出来ま

 

したし、1カ月に1円減っても多くの預金者はあまり気にし

 

ないのではないでしょうか。仮に技術者としての良心がなけ

 

ればそのようなことも技術的には可能なわけです。

 

最近は、有名大企業であっても偽装が発覚して、大きな問題

 

になりますが、これは社内システムの問題も深く関わってい

 

るものの、やはり技術者、職業人としての良心が廃れてきて

 

いる事も関係してきているような気がしています。

 

さて、対人サービスには「無形性」と「不確実性」という

 

代表的な二つの特質があります。

 

まず「無形性」とは何か

 

これは、事前にイメージすることができない、形がないため、

 

サービスを受ける前に、見たり試したりすることができないと

 

いう性質です。

 

飲食業などとは大きく違います。飲食店には、事前にイメージ

 

できる商品があります。それは、メニューを見れば大体分かり

 

ます。これから買おうとする商品がイメージできるわけです。

 

ところが、対人サービスはそうはいきません。目に見える商品

 

が無いからです。対人サービスは、従業員、スタッフの質その

 

ものです。言い換えると従業員、スタッフが商品になるわけです。

 

相手に合わせた臨機応変な対応や言葉遣いが求められます。

 

このように考えますと、福祉介護サービスの本質は、肉体労働で

 

はなくコミュニケーション労働と言えるのではないでしょうか。

 

いつも笑顔のあるスタッフと、暗い顔ばかりしているスタッフで

 

は、どちらの対人サービスが良いかは明らかです。

 

福祉施設の事故処理を専門とする某コンサルタントから興味深い

 

話を聞いたことがあります。

 

「福祉施設で何か事故が起きた場合、それが訴訟に発展するか、

 

お世話になりました。ここまでやって戴き、有難うございました

 

といって感謝で終わるかは、事故が起きる前にすでに決まってい

 

る。」という話でした。

 

逆説的な言い回しですが、「それ見た事か。施設に面会に行

 

ても挨拶もしない。笑顔もない。どこの人が来たんだという顔

 

をされる。社会人として、どうかというような身なりをしてい

 

る。だからこうした事故を起こすんだ。」となるそうです。

 

ある上場企業の創業経営者は、「最大のサービスとは、君の人格

 

を上げることだ。」と述べています。

 

「無形性」の対人サービスでは、人間性というものがとても大事

 

になるのではないでしょうか。

 

 

次に「不確実性」と何か

 

対人サービスの場合、同じことをしても、同じことを言っても、

 

喜んでくれる人もいれば、逆に怒り出す人もいます。対人サービ

 

スの難しさは、「結果の不確実性」にあります。こうすれば、

 

あるいは、こう言えばこうなるという確たるものがないのです。

 

相手の考え方や価値観に大きく左右されます。生活環境や考え方

 

なども影響します。

 

結局、対人サービスは、相性が大きく作用するのではないでしょ

 

うか。現場でスタッフが、どんなに相性が合わなくても必死に努

 

力している姿を見かけます。どのような人にも公平にサービスを

 

提供しなければならないという使命感からです。確かに大事な使

 

命感かもしれませんが、それで自分がつぶれてしまっては、元も

 

子もありません。相性が悪いのです。相性の合う別のスタッフに

 

変わってもらった方が、自分も相手もずっと楽になります。こう

 

した過剰な使命感でバーンアウトする必要はないのではないか。

 

私のような経営コンサルタントも、本質は対人サービスです。

 

知識や技術を切り売りするセールスマンではありません。

 

経営者と信頼関係を切り結べなければ、そのような知識技術

 

は、何の役にも立ちません。同じことを言っても、喜んでく

 

れる経営者もいますし、憤慨される経営者もいます。

 

相性なのです。私以外の別のコンサルタントが同じことを言

 

えば納得してくれかもしれません。結局のところ、対人サー

 

ビスは、どこまで行っても人間性を高めなければ始まらない

 

のではないでしょうか。

 

以上、皆様のご参考になれば誠に幸いです。

 

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差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見

くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま

すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。

 

※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり

ますので、是非宜しくお願い申し上げます。

 

次の第82号は、4月10日頃に配信致します。

 

 

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