今後の福祉介護事業経営に必要なこと

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今後の福祉介護事業経営に必要なこと

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2025/05/11 今後の福祉介護事業経営に必要なこと

福祉介護事業者の7割以上が中小企業にあたるのではないか

 

という観点から、中小企業庁から発信される「中小企業白書」

 

は毎年読むようにしていますが、今年4月25日に国会に提出

 

された2025年版「中小企業白書」によりますと、物価高、

 

人手不足、賃上げ等による労働分配率の高騰という現状の

 

課題に対して、経営者の「経営力」の向上が重要であると

 

指摘されています。

 

全国、様々な福祉介護事業の経営コンサルを手掛けてきた

 

経験から、理事長、施設長といった経営者が「経営力」より

 

利用者サービス中心の「運営力」に注力されているケースが

 

多いように感じています。

 

物価高に対しては、補助金や助成金の国への要求、人手不足

 

に対しては、人材紹介会社への依存、賃上げ等による労働分配

 

率の高騰の結果として、赤字決算法人の増加。

 

実際、これらの環境変化が顕著ではなかった数年前までは、

 

特養やデイサービスの赤字割合は全国で3割程度と常に一定

 

でしたが、現在では4割の事業者が赤字という実態です。

 

それでは、経営者の「経営力」とは何かということですが、

 

白書では、経営者の「経営力」を以下のように定義しています。

 

1.経営者個人の資質(優れた経営者からの学び、成長意欲)

 

2.戦略策定面(経営計画の策定力と確実な実施)

 

3.組織人材面(経営理念や業績数字を共有重視するオープンな

 

  経営と従業員を大事にする人材経営)

 

この3点から見えてくることは、「運営者」から「経営者」への

 

脱皮ではないでしょうか。

 

確かに、この3つを兼ね備えた経営者は既にいらっしゃいます。

 

こうした経営者に接して、私もたくさん学ばせて頂きました。

 

しかしながら極めて少数であることも事実です。

 

白書では、経営者が「経営力」を身に着ける際、優れた経営者

 

から学んだりする成長段階では、経営者にはないスキルを持つ

 

補完的人材の確保が重要であると述べています。

 

これについては、企業経営の経験がある人材を外部から求めて、

 

雇用する方法があると思います。実際、私のクライアント法人

 

でも外部の企業経営経験者を本部長に抜擢して、様々な経営改革

 

を進めておられるところありますが、一方、採用した人材がミス

 

マッチで思うような成果が出ていないところもあります。

 

法人で雇用する以外の方法としては、われわれのような経営コン

 

サルを一時的に活用するということも考えられます。自分の所で

 

雇用してしまうとたとえミスマッチであっても中々退職させるわ

 

けにはいきません。安くない人件費が何十年も出ていくことにな

 

りますが、経営コンサルはスポットで使えるわけです。

 

ミスマッチがあればその時点で切ることもできます。

 

ある経営者が「大坪さんを使っているのは、時間とスキルを買って

 

いる訳で、自分の所で採用するより結果として安く済むからだ」と

 

いう話をされたことがあります。正にこうした考え方が、今のこの

 

業界には必要ではないでしょうか

 

たとえ内部留保が何億円あっても貯めているだけという社会福祉法

 

人が結構存在します。今は何も使わずに将来の建替えのためだけに、

 

ただめているという所が少なくないわけで、こうしたお金を先

 

投資して、コンサルや外部人材を使って経営改善を進めていく。

 

それが結果的内部留保を増やすことにつながる。建替えのための

 

内部留保も速貯まっていく。こうした先行投資の考え方が今後は

 

必要だと思います。お金はただ貯めているだけでは何も生み出しま

 

せん。お金は適切に使ってはじめて価値を生み出します。

 

手前味噌で恐縮ですが、直近のある法人では、700万円位のコンサル

 

用でコンサル導入前、損益ベースで3千万円の赤字であった施設

 

万円の黒字を出した事例があります。都合5千万円の収益改善

 

です。コンサルを使って先行投資した費用の7倍の成果があった訳です。

 

こうしたことはこの法人に限ったことではありません。弊社では、この

 

ような事例は少なくありません。

 

ただし、当然ですが、その施設長の実践力があってはじめてもたらされ

 

た成果です。コンサルの言う事を右から左に聞き流しているだけでは、

 

このような収益改善は望めないでしょう

 

中小企業白書のいう経営者の「経営力」とはコンサルなどの外部から

 

学びを通して、それを実践することでもたらされる「力」を指すのでは

 

ないでしょうか。

 

以上、皆様のご参考になれば誠に幸いです。

 

1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等

 

差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見

くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま

すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。

 

※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり

ますので、是非宜しくお願い申し上げます。

次の第84号は、6月10日頃に配信致します。

 

 

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