046-890-0856
〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77
帰属意識
ある経営者が「会社の根幹は、従業員が会社に信頼感を持ち、
同じ方向を向いて働けること」という言葉を残しています。
「会社の根幹」という部分は「経営の根幹」と読み替えること
もできると思います。
それでは、従業員が会社に信頼感を持つとは、具体的にどうい
うことを指すのでしょうか。
全国的に有名な大企業であれば、そこで働く従業員は、初め
からその会社に就職したいと考えて採用されていますので、
入社時からその会社を信頼していると思います。
しかしながら、われわれの業界も含め、多くの中小零細企業
では、有名大企業ほどのネームバリューもありませんので、
そこで働く従業員に初めから、大企業で働く従業員のような
「会社に対する信頼」を期待することはできないのではない
かと思います。
当然、われわれの業界にも親や親類から「いい会社に入ったね」
と喜んでもらえるような法人施設もありますが、そうでもない
法人施設の場合、どうすれば「会社に対する信頼」を持っても
らえるでしょうか。
私は、その法人施設で働く職員に「帰属意識」を持ってもらう
ことが大事ではないかと考えています。
帰属意識とは、一般に「その組織に対して心理的な繋がりや愛着
を感じること」と解釈されますので、そこで働く職員には、是非
とも持ってもらいたい意識・マインドだと思います。
しかしながら、この業界で働く職員さんの多くは「利用者、利用者」
で会社や組織に対する帰属意識を語ってくれることは極めて稀です。
帰属意識がなければ「利用者」はどこにでもいますから、別に今の
法人施設でなくてもいい訳です。その結果として、ちょっとしたこ
とで辞めて行き、業界内を転々とするようになってしまうのではないか。
確立された業界、例えば自動車業界でトヨタに勤めていた人がホンダ
や日産などの別会社へ転職するようなことはほとんどないように思い
ます。また、トヨタやホンダほどの大企業でなくても同じ業界の別会
社を転々とするようなこともあまり聞きません。それは帰属意識の問
題ではないかと思います。
それでは、職員スタッフに帰属意識を持ってもらうためにはどうす
れば良いのでしょうか。
まずは、福祉介護事業の経営者が利用者ではなく、職員スタッフに
愛情を注ぐことが大事になってくると思います。
このメルマガでも度々取り上げていますが、職員研修費と福利厚生
費の使い方に職員に対する愛情の有無をみることができます。
同じ規模の施設でも年間数百万円も掛けているところもあれば、わ
ずかに数十万円というところもあります。全体的にみると数十万円
という施設が圧倒的に多いようです。
ひとつの目安として年間収入の1%を職員研修費と福利厚生費に掛け
ているところは、経営者が職員に愛情を掛けているといえるでしょう。
一方、収入に対して0.05%~0.1%程度の施設は、経営者が職員スタ
ッフに愛情を掛けているとは言えないのではないか。
自分の法人施設はどうか、一度、決算書から計算してみることをお勧
めします。
職員に対する愛情指数の高い施設では、その数百万円をどのように使
っているかということですが、専門職間の垣根を超えて、法人の全職
員に対して定期的に理念研修を受講させることで一体感を醸成してい
る場合が多いようです。
職種別の専門職研修も大事ですが、それだけでは職員同士の一体感は
生まれませんし、法人に対する帰属意識を高めることもできません。
数十万円しか使っていない法人施設をみると、社協や介護労働安定
センター主催の専門職研修だけを受講させているケースが多いよう
です。これでは、他の施設へ転職する動機は生まれても法人組織に
対する帰属意識は生まれないと思います。結果、職員の離職で採用
コストが増大することになります。
皆様は、「ザイアンスの法則」というものをご存じでしょうか。
これは、人は、会えば会う程その人を好きになるという「単純接触
効果」について研究されたものです。この単純接触効果を利用して
昔から日本企業では、会社全体で色々な行事を開催してきました。
最近は、コロナの影響で「非接触」が好まれますが、それでは中々、
人間的なつながりを構築することは難しいでしょう。
定期的に法人全体でボーリング大会を開催している、職員旅行を
行なっているという法人を知っていますが、そこの職員さん達は
帰属意識が非常に高いことを感じます。
全社を上げての行事を企画開催することは、大変な手間が掛かり
ますし、苦労も多いですが、職員スタッフ間の人間的なつながり
ができて、結果、離職が少なくなります。そして、人材確保に苦
労することもありません。
従業員が会社に信頼感を持つようになるためには、職員に対して
愛情を示すこうした地道な活動が大事になるのではないでしょうか。
以上、皆様のご参考になれば誠に幸いです。
1.内容は、興味がもてますか? 2.疑問点、ご意見はありますか? 3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり
ますので、是非宜しくお願い申し上げます。
次の第85号は、7月10日頃に配信致します。
福祉マネジメントラボ
電話番号 046-890-0856 住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77
25/06/15
25/05/11
25/04/13
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ある経営者が「会社の根幹は、従業員が会社に信頼感を持ち、
同じ方向を向いて働けること」という言葉を残しています。
「会社の根幹」という部分は「経営の根幹」と読み替えること
もできると思います。
それでは、従業員が会社に信頼感を持つとは、具体的にどうい
うことを指すのでしょうか。
全国的に有名な大企業であれば、そこで働く従業員は、初め
からその会社に就職したいと考えて採用されていますので、
入社時からその会社を信頼していると思います。
しかしながら、われわれの業界も含め、多くの中小零細企業
では、有名大企業ほどのネームバリューもありませんので、
そこで働く従業員に初めから、大企業で働く従業員のような
「会社に対する信頼」を期待することはできないのではない
かと思います。
当然、われわれの業界にも親や親類から「いい会社に入ったね」
と喜んでもらえるような法人施設もありますが、そうでもない
法人施設の場合、どうすれば「会社に対する信頼」を持っても
らえるでしょうか。
私は、その法人施設で働く職員に「帰属意識」を持ってもらう
ことが大事ではないかと考えています。
帰属意識とは、一般に「その組織に対して心理的な繋がりや愛着
を感じること」と解釈されますので、そこで働く職員には、是非
とも持ってもらいたい意識・マインドだと思います。
しかしながら、この業界で働く職員さんの多くは「利用者、利用者」
で会社や組織に対する帰属意識を語ってくれることは極めて稀です。
帰属意識がなければ「利用者」はどこにでもいますから、別に今の
法人施設でなくてもいい訳です。その結果として、ちょっとしたこ
とで辞めて行き、業界内を転々とするようになってしまうのではないか。
確立された業界、例えば自動車業界でトヨタに勤めていた人がホンダ
や日産などの別会社へ転職するようなことはほとんどないように思い
ます。また、トヨタやホンダほどの大企業でなくても同じ業界の別会
社を転々とするようなこともあまり聞きません。それは帰属意識の問
題ではないかと思います。
それでは、職員スタッフに帰属意識を持ってもらうためにはどうす
れば良いのでしょうか。
まずは、福祉介護事業の経営者が利用者ではなく、職員スタッフに
愛情を注ぐことが大事になってくると思います。
このメルマガでも度々取り上げていますが、職員研修費と福利厚生
費の使い方に職員に対する愛情の有無をみることができます。
同じ規模の施設でも年間数百万円も掛けているところもあれば、わ
ずかに数十万円というところもあります。全体的にみると数十万円
という施設が圧倒的に多いようです。
ひとつの目安として年間収入の1%を職員研修費と福利厚生費に掛け
ているところは、経営者が職員に愛情を掛けているといえるでしょう。
一方、収入に対して0.05%~0.1%程度の施設は、経営者が職員スタ
ッフに愛情を掛けているとは言えないのではないか。
自分の法人施設はどうか、一度、決算書から計算してみることをお勧
めします。
職員に対する愛情指数の高い施設では、その数百万円をどのように使
っているかということですが、専門職間の垣根を超えて、法人の全職
員に対して定期的に理念研修を受講させることで一体感を醸成してい
る場合が多いようです。
職種別の専門職研修も大事ですが、それだけでは職員同士の一体感は
生まれませんし、法人に対する帰属意識を高めることもできません。
数十万円しか使っていない法人施設をみると、社協や介護労働安定
センター主催の専門職研修だけを受講させているケースが多いよう
です。これでは、他の施設へ転職する動機は生まれても法人組織に
対する帰属意識は生まれないと思います。結果、職員の離職で採用
コストが増大することになります。
皆様は、「ザイアンスの法則」というものをご存じでしょうか。
これは、人は、会えば会う程その人を好きになるという「単純接触
効果」について研究されたものです。この単純接触効果を利用して
昔から日本企業では、会社全体で色々な行事を開催してきました。
最近は、コロナの影響で「非接触」が好まれますが、それでは中々、
人間的なつながりを構築することは難しいでしょう。
定期的に法人全体でボーリング大会を開催している、職員旅行を
行なっているという法人を知っていますが、そこの職員さん達は
帰属意識が非常に高いことを感じます。
全社を上げての行事を企画開催することは、大変な手間が掛かり
ますし、苦労も多いですが、職員スタッフ間の人間的なつながり
ができて、結果、離職が少なくなります。そして、人材確保に苦
労することもありません。
従業員が会社に信頼感を持つようになるためには、職員に対して
愛情を示すこうした地道な活動が大事になるのではないでしょうか。
以上、皆様のご参考になれば誠に幸いです。
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2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
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次の第85号は、7月10日頃に配信致します。
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