046-890-0856
〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77
コンサルと経営改善との関係
弊社にコンサルを依頼される場合、経営者は、以下のような課題を
解決したいと考えている場合が多いようです。
①「稼働率が低迷してきた」
②「物価高騰で赤字になってしまった」
③「職員の離職が多い」
また、運営体質から経営体質へシフトできるよう組織全体を見直し
たいと仰る経営者もいらっしゃいます。
私は、このようなコンサル依頼を頂くと以下の3本柱のコンサルを
提案しています。
①「法人事業全体の決算経営分析(直近2カ年)」
②「管理会計導入」
③「管理職養成のためのビジネス研修」
多くの経営者の方々は、収支差額率(赤字も含めた利益率)と人件費
率等は把握されていますが、なぜ、そのような結果となっているかと
いうプロセスを示す経営指標まで詳しく把握されている場合は、少な
いように感じます。それでは、プロセスとなる経営指標とはどのよう
なものか。
①入院延べ日数
②空床延べ日数
③退居から新たな入居までの平均日数
これらの数値は現場の受け入れ体制やサービスレベルの結果もたらさ
れるものですが、それらが結果として稼働率に集約されます。そして、
収入(売上)の多寡を決定します。
また、生産性の善し悪しを見る指標には、以下の3つがあります。
①利用者10人当たり職員数
②労働生産性
③労働分配率
例えば、利用者10人当たり職員数が10人ということになれば、明らか
に職員配置が厚すぎるということになります。利用者1人に対して職員
が1人配置されているわけですから、現場がいくら忙しい、人が足りな
いと言ったとしても分析結果から職員配置が厚すぎる実態が浮き彫りに
なるわけです。
現場の忙しい、人が足りないという言葉だけに振り回されないで、経営
分析を通して数値で経営体質を把握することが経営改善の第一歩につな
がります。
また、この分析結果は、管理職はじめ、できるだけ多くの職員の皆さん
に自分たちの実態を知ってもらうために報告会を開催して詳しく説明し
ます。知ってもらうことで、できるだけ多くのスタッフに健全な危機意
識を持ってもらうことが経営改善を進める上で非常に重要になると考え
るからです。
自施設の数字と適正値とを比較して多すぎる入院日数や空床日数、退居
から新たな入居までの平均日数をどれだけ減らしていけるか。その目標
値を設定してもらい、その結果、算出された稼働率を目標として予算を
作成します。ちなみに年間の目標収入は、
「目標稼働率×利用者1人1日当たり平均単価×定員数×営業日数」で
算出できます。
そして、この年間目標を12分の1ずつ、毎月月次で追っていきます。
これが管理会計です。A4一枚で特養やデイサービス等の1カ月間の
「ヒト・モノ・カネ」の動きが把握できて、なおかつ、目標達成の
進捗管理もできるフォーマットがありますので、それを使って各事業
所の責任者が数字を持ち寄り、実績と目標との比較を行います。
仮に目標に達しない場合は、改善のためのアクションプランを立てて、
その日から改善に取り組んで頂くようお願いすることになります。
現場での受け入れ体制や看護介護サービスのレベルが入院日数や退去
から新規入居までの日数の増減につながるわけですから、これらが改
善されれば、結果稼働率向上、収入増をもたらすことになります。
最後に3つめの柱である「管理職のためのビジネス研修」です。
1日当たり6時間、計4日、24時間で構成されたカリキュラム
を選抜された職員スタッフ15名~20名に受講して頂きます。
組織論や職場の風通しの良さ、福祉介護事業の収支構造と決算書
の見方、生産性向上といった日頃、専門職として利用者中心の仕
事をしている管理職にとっては、ハードルが高いカリキュラムに
戸惑われる人もいますが、一方、管理職としてこのままでいいの
かという危機感や不全感を常日頃持っていた人たちには、その心
に火をつけるきっかけになります。この業界の多くの管理職は、
専門職としてキャリアを積んだ後、特に管理職研修など受講する
ことなく、何となく自分のイメージだけで管理職を務めています
ので、こうした研修は必要不可欠ではないかと考えています。
中部地方のある県で6箇所の障害者支援施設を経営する法人でこ
の3本柱のコンサルを導入した際、ある施設の管理職の人の心に
火が付いて、大幅な経営改善を達成されたことがありました。
過去数年間赤字続きで、前年度決算も約3千万円の赤字だった施
設を半年後の翌年度決算では、何と2千万円の黒字にして、トー
タル5千万円もの収支を改善されました。前年度の収支差額が
▲11.6%であったものが、翌年度は6.6%の黒字になって、正に
V字回復されたわけです。
今までは、現場が抵抗して受け入れなかったような利用者も強固
な姿勢で受け入れを行なった結果、稼働率が15%以上も向上した
のがその大きな要因です。
黒字を達成した年のビジネス研修でお会いした際、その管理職の人
にねぎらいを兼ねてお話しを伺ったところ、彼は次のように語っ
てくれました。
経営分析結果を見て、今まで漠然と感じていた危機感が本当の危
機感に変わったこと。管理会計の月次での会議で自分は、管理職
として何をしなければならないかを改めて認識したこと。
そして、ビジネス研修で取り組む姿勢、熱意がなければ何も生ま
れないことが心に突き刺さったので、現場の激しい抵抗も乗り切
るマインドを持つことができたこと。この3点が今回の経営改善
につながったと話して下さいました。
コンサルは環境を整えるだけ、実際には法人内でそれができない
から外部の力が必要になるわけですが、いずれにしてもコンサル
ができることは、環境整備と関係者のマインドセットを変えるこ
と。それが数字となって結果に表れるか否かは、自分の役割責任
に真摯に取組むことができる、こうした管理職がいるかどうかに
掛かってくるのではないかと思います。
今回は、「コンサルと経営改善との関係」について述べてみました。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。
次の第87号は、9月中旬に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか? 2.疑問点、ご意見はありますか? 3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり
ますので、是非宜しくお願い申し上げます。
福祉マネジメントラボ
電話番号 046-890-0856 住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-78 レジデント富士見102
25/08/13
25/08/05
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弊社にコンサルを依頼される場合、経営者は、以下のような課題を
解決したいと考えている場合が多いようです。
①「稼働率が低迷してきた」
②「物価高騰で赤字になってしまった」
③「職員の離職が多い」
また、運営体質から経営体質へシフトできるよう組織全体を見直し
たいと仰る経営者もいらっしゃいます。
私は、このようなコンサル依頼を頂くと以下の3本柱のコンサルを
提案しています。
①「法人事業全体の決算経営分析(直近2カ年)」
②「管理会計導入」
③「管理職養成のためのビジネス研修」
多くの経営者の方々は、収支差額率(赤字も含めた利益率)と人件費
率等は把握されていますが、なぜ、そのような結果となっているかと
いうプロセスを示す経営指標まで詳しく把握されている場合は、少な
いように感じます。それでは、プロセスとなる経営指標とはどのよう
なものか。
①入院延べ日数
②空床延べ日数
③退居から新たな入居までの平均日数
これらの数値は現場の受け入れ体制やサービスレベルの結果もたらさ
れるものですが、それらが結果として稼働率に集約されます。そして、
収入(売上)の多寡を決定します。
また、生産性の善し悪しを見る指標には、以下の3つがあります。
①利用者10人当たり職員数
②労働生産性
③労働分配率
例えば、利用者10人当たり職員数が10人ということになれば、明らか
に職員配置が厚すぎるということになります。利用者1人に対して職員
が1人配置されているわけですから、現場がいくら忙しい、人が足りな
いと言ったとしても分析結果から職員配置が厚すぎる実態が浮き彫りに
なるわけです。
現場の忙しい、人が足りないという言葉だけに振り回されないで、経営
分析を通して数値で経営体質を把握することが経営改善の第一歩につな
がります。
また、この分析結果は、管理職はじめ、できるだけ多くの職員の皆さん
に自分たちの実態を知ってもらうために報告会を開催して詳しく説明し
ます。知ってもらうことで、できるだけ多くのスタッフに健全な危機意
識を持ってもらうことが経営改善を進める上で非常に重要になると考え
るからです。
自施設の数字と適正値とを比較して多すぎる入院日数や空床日数、退居
から新たな入居までの平均日数をどれだけ減らしていけるか。その目標
値を設定してもらい、その結果、算出された稼働率を目標として予算を
作成します。ちなみに年間の目標収入は、
「目標稼働率×利用者1人1日当たり平均単価×定員数×営業日数」で
算出できます。
そして、この年間目標を12分の1ずつ、毎月月次で追っていきます。
これが管理会計です。A4一枚で特養やデイサービス等の1カ月間の
「ヒト・モノ・カネ」の動きが把握できて、なおかつ、目標達成の
進捗管理もできるフォーマットがありますので、それを使って各事業
所の責任者が数字を持ち寄り、実績と目標との比較を行います。
仮に目標に達しない場合は、改善のためのアクションプランを立てて、
その日から改善に取り組んで頂くようお願いすることになります。
現場での受け入れ体制や看護介護サービスのレベルが入院日数や退去
から新規入居までの日数の増減につながるわけですから、これらが改
善されれば、結果稼働率向上、収入増をもたらすことになります。
最後に3つめの柱である「管理職のためのビジネス研修」です。
1日当たり6時間、計4日、24時間で構成されたカリキュラム
を選抜された職員スタッフ15名~20名に受講して頂きます。
組織論や職場の風通しの良さ、福祉介護事業の収支構造と決算書
の見方、生産性向上といった日頃、専門職として利用者中心の仕
事をしている管理職にとっては、ハードルが高いカリキュラムに
戸惑われる人もいますが、一方、管理職としてこのままでいいの
かという危機感や不全感を常日頃持っていた人たちには、その心
に火をつけるきっかけになります。この業界の多くの管理職は、
専門職としてキャリアを積んだ後、特に管理職研修など受講する
ことなく、何となく自分のイメージだけで管理職を務めています
ので、こうした研修は必要不可欠ではないかと考えています。
中部地方のある県で6箇所の障害者支援施設を経営する法人でこ
の3本柱のコンサルを導入した際、ある施設の管理職の人の心に
火が付いて、大幅な経営改善を達成されたことがありました。
過去数年間赤字続きで、前年度決算も約3千万円の赤字だった施
設を半年後の翌年度決算では、何と2千万円の黒字にして、トー
タル5千万円もの収支を改善されました。前年度の収支差額が
▲11.6%であったものが、翌年度は6.6%の黒字になって、正に
V字回復されたわけです。
今までは、現場が抵抗して受け入れなかったような利用者も強固
な姿勢で受け入れを行なった結果、稼働率が15%以上も向上した
のがその大きな要因です。
黒字を達成した年のビジネス研修でお会いした際、その管理職の人
にねぎらいを兼ねてお話しを伺ったところ、彼は次のように語っ
てくれました。
経営分析結果を見て、今まで漠然と感じていた危機感が本当の危
機感に変わったこと。管理会計の月次での会議で自分は、管理職
として何をしなければならないかを改めて認識したこと。
そして、ビジネス研修で取り組む姿勢、熱意がなければ何も生ま
れないことが心に突き刺さったので、現場の激しい抵抗も乗り切
るマインドを持つことができたこと。この3点が今回の経営改善
につながったと話して下さいました。
コンサルは環境を整えるだけ、実際には法人内でそれができない
から外部の力が必要になるわけですが、いずれにしてもコンサル
ができることは、環境整備と関係者のマインドセットを変えるこ
と。それが数字となって結果に表れるか否かは、自分の役割責任
に真摯に取組むことができる、こうした管理職がいるかどうかに
掛かってくるのではないかと思います。
今回は、「コンサルと経営改善との関係」について述べてみました。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。
次の第87号は、9月中旬に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり
ますので、是非宜しくお願い申し上げます。
福祉マネジメントラボ
電話番号 046-890-0856
住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-78 レジデント富士見102