業務改善より大事なこと

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業務改善より大事なこと

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2025/09/13 業務改善より大事なこと

福祉介護業界で仕事をしていますと「利用者満足」や「サービス

 

の質」という言葉が頻繁に出てきます。一方、「従業員満足」や

 

「経営の質」といった言葉はあまり聞かれません。

 

私は、従業員満足や経営の質が利用者満足や質の良いサービスを

 

もたらすと考えています。

 

現場から、利用者満足やサービスの質を上げるためには、もっと

 

職員を増やす必要があるとの声が聞かれます。その要求に従って

 

職員を多く配置すると人件費が高騰し、結果、赤字になります。

 

福祉介護事業の約4割が赤字という実態は、この構造にあるので

 

はないか。

 

そして、これ以上職員は増やせないということになると「業務

 

改善」という話になります。しかし、この業務改善はなかなか

 

進みません。

 

現場のリーダー層から話しを聞くと「決まったことが続かない」

 

「決まった通りにやる人とやらない人がいる」「前の方が良かっ

 

たという不満が出る」等々。このことから、現場での一体感のな

 

さや指揮命令系統の不備といった組織上の問題が浮き彫りになっ

 

てきます。私は、「経営の質」とも言える、この組織上の問題が

 

決されない限り、「業務改善」は絵に描いた餅になると考えて

 

ます。

 

では、どうしたら良いのか。

 

私はやはり課長や主任といった現場のリーダー層の役割認識を

 

変える必要があると思っています。課長が相談員、主任が介護

 

職で働いている限りは、現場での一体感のなさや指揮命令系統

 

の不備といった問題は解消されないのではないでしょうか。

 

多くの場合、課長や主任であっても現場の勤務シフトに入って

 

いたりします。現場は、いつも人が足りないと考えていますの

 

でそうした管理職を歓迎します。一方、経営サイドでもそのこ

 

とにあまり問題を感じていません。私は、課長や主任といった

 

現場のリーダー層には、職員と職場に7割、利用者に3割の比重

 

で自分の仕事を見直して欲しいと訴えています。

 

先月、九州地方で介護施設を複数経営する法人の管理職研修を

 

行なってきました。

 

職員と職場に7割、利用者に3割の比重で自分の仕事を見直して

 

欲しい。このテーマで受講者の皆様には、それぞれ個人個人、

 

自分が取組むべき課題を考えて頂き、約1ヶ月間、職場で実際

 

に取組んで頂きました。

 

ここで、その結果のいくつかをご紹介したいと思います。

 

まず最初は、グループホームで主任を務めておられる女性の職

 

員です。彼女の取り組みは

 

①職員に対して自らコミュニケーションを図り、職場環境と職

 

員の心身の状況を把握すること。

 

②気になる職員に対して早急に面談の機会を作ること。

 

具体的には、

 

①○○さん「おはようございます」、「お疲れ様です」、

 

「宜しくお願いします」とスタッフ全員に挨拶すること。

 

②些細なことでも「大変でしたね、有難うございます」

 

とねぎらいの言葉をかける。これを1ヶ月実践して、習慣

 

化できたと発表してくれました。

 

そして、その結果、職場はどのように変わったか。

 

体調不良で欠勤した職員がいても、皆から愚痴も出ず、職

 

員みんなが協力して一日が終わるようチームが一丸となっ

 

た。嬉しかったです。と

 

また、日頃、ため息交じりに仕事をしている問題職員の表情

 

に笑顔が増えて、自分の役割などについて相談してくること

 

が増えた。また、気になる職員のことを上司に相談し、そ

 

ドバイスにしたがって、次の日に時間を作り面談した。

 

その結果、職員が誤解していることも多かったので、自分が

 

間に入り、誤解が少しずつ解けるよう修正した。最後に、

 

上司や部下のリーダーも協力してくれて今は職場環境が良く

 

働きやすい職場となっていると発表して下さいました。

 

これらは正に「従業員満足が、利用者満足や質良いサービ

 

スをもたらす」ことの証明ではないでしょうか。

 

 

次は、特養の施設長の取り組み結果です。

 

①一般職員への直接指導を控え、直属の部下の課長に指示を

 

伝え、その課長から一般職への指導を行なってもらう。

 

②会議では課題や方針は課長から伝えてもらうようにして、

 

自らは極力発言を控えるようにする、というものです。

 

そして、その結果、職場はどのように変わったか。

 

日常的に課長へ報告・相談する回数が増え、課長の課題整

 

理力が向上し、職員へ伝える内容の精度が高まった。

 

さらには、幹部職員たちが「自分たちが考え、動く」意識

 

を持つようになり、主体性が芽生えた。と、発表をして下

 

さいました。これは、「経営の質」である指揮命令系

 

整備を行い、報告連絡相談(ホウレンソウ)の頻を増や

 

し、かつ、人材育成の一丁目一番地である権限委譲

 

したことで生まれた成果だと感じました。

 

業務改善から入るのではなく、従業員満足や経営の質の改

 

善を行なうこでこれだけの良い変化が生まれたわけです。

 

 

現代では地域のコミュニティも崩壊し、一人で孤独に生活

 

ている人も増えてきました。そのような時代にあって、

 

職場が安心できるコミュニティになることが、そこで働く

 

従業員のやりがいや存在意義につながるのではないでしょ

 

うか。

 

そうなれば、この業界はもっと活性化すると思います。

 

 

まずは、みんなが毎日通ってくる職場環境を綺麗にするこ

 

とから始めて頂くことを私は強く推奨します。

 

今回は、「業務改善より大事なこと」ということついて述べて

 

みました。

 

以上、皆様のご参考になれば幸いです

 

次の第88号は、10月中旬に配信致します。

 

1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等

 

差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見

くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま

すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。

 

※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり

ますので、是非宜しくお願い申し上げます。

 

 

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