経営の神様が遺してくれたこと

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経営の神様が遺してくれたこと

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2025/10/15 経営の神様が遺してくれたこと

創業間もない頃から永らくお付き合いくださっている法

 

和歌山県にありますが、その法人さんが毎年秋に開催してい

 

「研究表大会」に先日招かれて、行って参りました。

 

毎回、この地を訪れますと松下幸之助さんのことを思い浮か

 

べます。ご存じの方も多いかと思いますが、幸之助さんは、

 

この和歌山の地でお生まれになりました。

 

そこで今日は、幸之助さんのことを思い浮かべながら、経営

 

の神様が我々に遺してくれたことついて書いてみたいと思

 

ます。

 

私が幸之助さんを知るきっかけとなったのは、今から60年

 

以上前遡ります。当時、私の祖父は福岡県内に松下電器

 

の系列電器店を2店舗経営していました。そんなある日、

 

祖父の電器店が九州地方で一番の売上を上げたということ

 

で、幸之助さんに表彰されて、副賞として九州一周旅行が

 

贈られるという出来事ありました。

 

祖父は大変喜んで、生まれて初めて乗る飛行機にワクワク

 

しなが九州一周の旅を楽しんだといいます。この話を子供

 

の頃、母から聞かされたことで、私は松下幸之助さんという

 

人を知ることになりま自分が一番尊敬する祖父を表彰し

 

てくれるような人とは、一体どんな人なんだろうと、子供心

 

に興味を持ったことを今でも覚えています。それから私は、

 

幸之助さんが書かれた本などを少しずつ読むようなりました。

 

松下幸之助が世間から「経営の神様」と呼ばれるようになった

 

所以は何かと問われれば、たくさんありますが、私は以下の

 

3つを挙げたいと思います。

               

第1は、「経営理念」という考え方を世界で初めて生み出し

 

たこと。

 

第2は、世界初の事業部制組織を考案し、実施したこと。

 

そして第3は、系列電器店(代理店)というネットワーク

 

を日本全国に張り巡らせたこと。

 

この3つは、今では世界中で当たり前のように行われていますが、

 

いずれも幸之助さんが発明したものです。

 

まず、経営理念についてですが、その当時、商売は儲ければよいも

 

のという風潮が主流であったといいます。ですから、だれも自分が

 

やっている商売の目的など考える人はいませんでした。しかし、

 

幸之助さんは天下の人を使い、天下の土地や建物を使って行なう事

 

業である以上、たとえ商売であっても、その事業の目的を明確にし

 

なくてはならないと考えたといいます。

 

1929(昭和4)年に経営理念である松下電器綱領を以下のよう

 

制定しています。

 

「産業人たるの本分に徹し、社会生活の改善と向上を図り、世界文

 

進展に寄与せんことを期す」。

 

ちなみに若い頃から松下幸之助に大きな影響を受けて「現代の経営

 

神様」と謳われるようになった稲盛和夫さんが創業した京セラ

 

理念は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時人類、

 

社会の進歩発展に貢献すること」ですが、非常によく似ていると思

 

れませんか。

 

現在では、一般産業を営んでいる企業はもちろん、われわれ福祉介

 

護事業を営んでいる法人企業でも「経営理念」を掲げているところ

 

は少なくありません。冒頭紹介した法人でも、今回の研究発表大会

 

の会場の横断幕は、「やさしさと思いやり」という経営理念が大

 

書されていました。

 

つぎは、事業部制についてですが、自分は体が弱いから、できるだ

 

け部下スタッフに大幅な権限移譲を行なうことで、自分が全てに指

 

示を出さなくても事業拡大が容易にできる方法として事業部制とい

 

うものを発明しました。

 

幸之助さんは、常に「事業は人にあり」ということを唱え続けまし

 

た。ですから、そこで働く従業員をとても大切にしました。

 

戦後の財閥解体でGHQが松下電器を財閥指定した結果、事業が

 

経ち行かなくなり、大変な借金を負うことになりますが、その時

 

でさえも従業員の首を切ることは一切しなかったといいます。

 

蛇足になりますが、今のパナソニックとは大きな違いです。

 

幸之助さんはどのよう思いで今のパナソニックを見ているで

 

しょうか。

 

以前私は、冒頭紹介した法人の事務長に案内されて高野山を訪れ

 

たことがありますが、その一角には、幸之助さんが物故となった

 

従業員達をお祀りしているお墓があります。全従業員を死してな

 

お、家族のように思いやっていたという事実。これが、当時世界

 

をリードしていた日本の大企業家の思想の根底にあったからこそ、

 

世界から「JAPAN AS NO1」と賞賛されたのではないか。

 

世界から畏敬の念で見られていた背景には、単なる企業業績の問題

 

だけではなく、その見識に対する尊敬のようなものがあったのでは

 

ないのか。私には、そう思われてなりません。

 

冒頭の法人の「研究発表大会」には、毎年、勤続表彰というセレ

 

ニーが盛り込まれています。これに立ち会いますと毎回、心が洗

 

れます。20年の勤続表彰を受けた介護職の方が、法人とともに築い

 

きたこれまでの20年の自分の人生を振り返り、これからの20年も

 

法人と共に成長していきたいと語られる姿は、感動を禁じ得ません。

 

実際、総合司会を務めた職員の方も感動で言葉を詰まらせていました。

 

このように経営者が従業員に愛情を注ぐことが強い組織を作る上で何

 

より重要なことだと思います。人を大事にする幸之助流が、ここでも

 

生きていることを実感した場面でした。

 

最後が3番目の系列代理店ですが、今では、自動車会社を中心に様々

 

業種で模倣されていることは皆様もご承知でしょう。

 

このように、現代の事業経営にも多大な影響を与え続けている幸之助

 

さんの足跡を見てきましたが、一方で政治の世界にも一石を投じてい

 

ます。

 

このメルマガを書いている令和7年10月15日現在、世間では、

 

次の首相が誰になるか騒がれていますが、そこに名前が挙がって

 

いる高市早苗氏や野田佳彦氏は、幸之助さんが私財を投じて創設し

 

松下政経塾の出身です。

 

「日本の国には経営がない。日本がこのままだったらこの国は行き

 

詰まる。」こうした危機感から、1980(昭和55)年、86歳

 

の時、私財70億円を投じて松下政経塾を創設されました。現在、

 

松下政経塾出身の国会議員は30程いるそうです。

 

明治時代の政治家である後藤新平は、「金を残して死ぬものは下だ、

 

事業を残して死ぬものは中だ、人を残して死ぬものは上だ。」という

 

言葉を残していますが、幸之助さんは、死して今なお人材を輩出し、

 

政治経済社会全般に影響を与え続けている真のリーダーであり、実践

 

を伴った思想家であり、日本が世界に誇るべき1級の偉人だと思います。

                 

以上、皆様のご参考になれば幸いです

 

次の第89号は、11月中旬に配信致します。

 

1.内容は、興味がもてますか?
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3.その他、感想、希望テーマ等

差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見

くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま

すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。

 

※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり

ますので、是非宜しくお願い申し上げます。

 

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