046-890-0856
〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77
管理職に登用する前に経営者が考えておくこと
私は昨年度から神奈川県の委託を受けて、県内の福祉介護事業者
向けて経営支援のお手伝いをしています。
そこで行なっている支援内容は大きく分けて、以下の二つ。
福祉介護事業の経営者・従事者向けのセミナー講師。
事業所に直接訪問して、その事業所の課題を聞いて
経営に関するアドバイスを行なう。
今日は、セミナー講師として11月4日に「管理者の役割」につい
て話した経験などを踏まえて、書いてみたいと思います。
今回のセミナーでは、福祉介護事業で働く60名近くの管理者の方
が受講して下さいました。事前に事務局が当セミナーに期待する
ことというテーマでアンケートを採ってくれていましたので、私
も事前に目を通していました。それを読みますと
「居宅のケアマネ事業所で管理者をしているが、本来あるべき
管理者の姿をお聞きしたい」や「リーダーとしてのマインドと
スキルを学びたい」、「管理者の役割、心構えを学びたい」
「管理者としての立ち位置、役割について認識合わせをしたい」
「なぜ自分が管理者に選ばれたのか、専門職の延長に必ずしも管
理の姿はないと普段から感じていて、それを裏付ける話が聞きた
い」などと書かれてあり、管理者や現場リーダーに任命されたも
のの専門職としてずっと働いてきて、いきなり明日から管理者だ
と言われても果たしてどのような行動を取ればいいのか分からな
いといった切実な思いを改めて感じました。
しかしながら、こうした話は、何も福祉介護事業だけに限った
特殊事情ではなく、他の産業でも多くの中小零細事業所で起き
ている課題、問題だと思います。
実際、以前私が務めていた中小企業のコンサル会社でも同じこ
とが起きていました。その会社で起きていたことを今思い出し
てみますと、椅子にふんぞり返って威張るだけの管理職がいた
り、今までのルーチンワークもこなしながら、部下の面倒も一
生懸命見ながら、身を粉にして業務負荷で潰れそうになってい
る管理職もいたりしました。
ちゃんとした管理職登用基準がなく、管理職としての教育を受
けることもないと、このようなことが起きるのではないか。
昨日までルーチンワークだけをやっていた人間が、適性がある
どうかも分からず、また教育も受けずに明日から管理者になっ
てくれ、課長をやってくれと言われるわけですから、何をどう
したらいいか分からないのも当然でしょう。その結果、それぞ
れ個人の主観だけでその役割に向き合うことになります。
福祉介護の業界で管理職をやっている人たちは、今まで通りプ
レーヤーの仕事をこなしながら、何とか管理職の役割を担いた
いと自分なりに必死に頑張る人たちが大半のように思います。
いわゆるプレーイングマネジャーです。
このような人たちが潰れていかないようにするためには、経営者
がしっかりとした管理職登用基準や管理職になるための学習の機
会を整備する必要があるのではないかと私は考えています。
管理職に登用するに当たっては、キャリアパスで管理職登用基準
を明示して、人事考課等でそれを満たした人を登用するような仕
組み作りが必要な気がします。
私が以前勤めたことのある富士通では、課長になる前に約1年間、
人事管理、労務管理、組織管理、経営管理、時間管理、財務管理
といった管理分野の通信教育を受けて、その試験である一定以上
の点数を取った人だけが会社の課長試験を受けることができるよ
うになっていました。当然、一部上場企業と比較することはでき
ませんので、ここまで大がかりな仕組みではなくても、何らかの
適性試験を導入することが有効ではないか。管理職に向い
例えば、多くの企業で取り入れられてているSPI(性格検査・総合
適性検査)。この検査では「リーダーシップ」「ストレス耐性」
「協調性」「論理的思考」を数値化することができますし、
STR(ストレス耐性検査)では、管理職に重要な“メンタル耐性”
を可視化することができると言われています。また、 エニアグラム
やDiSCなどの性格診断を使った管理職適性分析では、「リーダーに
向きやすいタイプか」「部下の育成スタイル」などを把握できるた
め企業研修でもよく使われているようです。
単に業務のベテランだからという理由だけで管理職に登用すると
本人も苦労しますし、それによって周りも迷惑するということも
あるでしょう。こうした適性試験等を使ってある程度、管理職と
しての適性を持つ人に絞った上で登用し、その後は、社内外の管
理職研修を受講してもらうというような仕組みを取り入れていく
ことが、冒頭で紹介した管理者の悩みを軽減して、なおかつ事業
所の生産性の向上にもつながるのではないかと私は考えています。
このメルマガでも、度々ご案内しています弊社による管理職養成
研修を受講したある管理者の方がアンケートで語ってくれた言葉
をここで紹介したいと思います。
「この研修は、管理職になる前に受けたかった。早くこの研修に
参加することができていれば、もっと良いマネジメントができて
いたと思うと残念でなりません。」
管理職に登用する前に管理職とは何か、専門職とは何が違うのかと
いったことを学んでおく機会があれば、冒頭紹介したような”悩み”
は、限りなく少なくなっていくのではないでしょうか。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。
次の第90号は、12月中旬に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか? 2.疑問点、ご意見はありますか? 3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり
ますので、是非宜しくお願い申し上げます。
福祉マネジメントラボ
電話番号 046-890-0856 住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-78 レジデント富士見102
25/11/16
25/10/15
25/09/13
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私は昨年度から神奈川県の委託を受けて、県内の福祉介護事業者
向けて経営支援のお手伝いをしています。
そこで行なっている支援内容は大きく分けて、以下の二つ。
福祉介護事業の経営者・従事者向けのセミナー講師。
事業所に直接訪問して、その事業所の課題を聞いて
経営に関するアドバイスを行なう。
今日は、セミナー講師として11月4日に「管理者の役割」につい
て話した経験などを踏まえて、書いてみたいと思います。
今回のセミナーでは、福祉介護事業で働く60名近くの管理者の方
が受講して下さいました。事前に事務局が当セミナーに期待する
ことというテーマでアンケートを採ってくれていましたので、私
も事前に目を通していました。それを読みますと
「居宅のケアマネ事業所で管理者をしているが、本来あるべき
管理者の姿をお聞きしたい」や「リーダーとしてのマインドと
スキルを学びたい」、「管理者の役割、心構えを学びたい」
「管理者としての立ち位置、役割について認識合わせをしたい」
「なぜ自分が管理者に選ばれたのか、専門職の延長に必ずしも管
理の姿はないと普段から感じていて、それを裏付ける話が聞きた
い」などと書かれてあり、管理者や現場リーダーに任命されたも
のの専門職としてずっと働いてきて、いきなり明日から管理者だ
と言われても果たしてどのような行動を取ればいいのか分からな
いといった切実な思いを改めて感じました。
しかしながら、こうした話は、何も福祉介護事業だけに限った
特殊事情ではなく、他の産業でも多くの中小零細事業所で起き
ている課題、問題だと思います。
実際、以前私が務めていた中小企業のコンサル会社でも同じこ
とが起きていました。その会社で起きていたことを今思い出し
てみますと、椅子にふんぞり返って威張るだけの管理職がいた
り、今までのルーチンワークもこなしながら、部下の面倒も一
生懸命見ながら、身を粉にして業務負荷で潰れそうになってい
る管理職もいたりしました。
ちゃんとした管理職登用基準がなく、管理職としての教育を受
けることもないと、このようなことが起きるのではないか。
昨日までルーチンワークだけをやっていた人間が、適性がある
どうかも分からず、また教育も受けずに明日から管理者になっ
てくれ、課長をやってくれと言われるわけですから、何をどう
したらいいか分からないのも当然でしょう。その結果、それぞ
れ個人の主観だけでその役割に向き合うことになります。
福祉介護の業界で管理職をやっている人たちは、今まで通りプ
レーヤーの仕事をこなしながら、何とか管理職の役割を担いた
いと自分なりに必死に頑張る人たちが大半のように思います。
いわゆるプレーイングマネジャーです。
このような人たちが潰れていかないようにするためには、経営者
がしっかりとした管理職登用基準や管理職になるための学習の機
会を整備する必要があるのではないかと私は考えています。
管理職に登用するに当たっては、キャリアパスで管理職登用基準
を明示して、人事考課等でそれを満たした人を登用するような仕
組み作りが必要な気がします。
私が以前勤めたことのある富士通では、課長になる前に約1年間、
人事管理、労務管理、組織管理、経営管理、時間管理、財務管理
といった管理分野の通信教育を受けて、その試験である一定以上
の点数を取った人だけが会社の課長試験を受けることができるよ
うになっていました。当然、一部上場企業と比較することはでき
ませんので、ここまで大がかりな仕組みではなくても、何らかの
適性試験を導入することが有効ではないか。管理職に向い
例えば、多くの企業で取り入れられてているSPI(性格検査・総合
適性検査)。この検査では「リーダーシップ」「ストレス耐性」
「協調性」「論理的思考」を数値化することができますし、
STR(ストレス耐性検査)では、管理職に重要な“メンタル耐性”
を可視化することができると言われています。また、 エニアグラム
やDiSCなどの性格診断を使った管理職適性分析では、「リーダーに
向きやすいタイプか」「部下の育成スタイル」などを把握できるた
め企業研修でもよく使われているようです。
単に業務のベテランだからという理由だけで管理職に登用すると
本人も苦労しますし、それによって周りも迷惑するということも
あるでしょう。こうした適性試験等を使ってある程度、管理職と
しての適性を持つ人に絞った上で登用し、その後は、社内外の管
理職研修を受講してもらうというような仕組みを取り入れていく
ことが、冒頭で紹介した管理者の悩みを軽減して、なおかつ事業
所の生産性の向上にもつながるのではないかと私は考えています。
このメルマガでも、度々ご案内しています弊社による管理職養成
研修を受講したある管理者の方がアンケートで語ってくれた言葉
をここで紹介したいと思います。
「この研修は、管理職になる前に受けたかった。早くこの研修に
参加することができていれば、もっと良いマネジメントができて
いたと思うと残念でなりません。」
管理職に登用する前に管理職とは何か、専門職とは何が違うのかと
いったことを学んでおく機会があれば、冒頭紹介したような”悩み”
は、限りなく少なくなっていくのではないでしょうか。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。
次の第90号は、12月中旬に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり
ますので、是非宜しくお願い申し上げます。
福祉マネジメントラボ
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