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メールマガジン

2021/01/14 ノーブレス・オブリージュ

福祉介護事業の経営者・施設長のためのメルマガ通信 
                          第31号

 

こんにちは。

福祉マネジメントラボの大坪信喜です。

 

あけましておめでとうございます、と申し上げるのも憚られるような

世相ですが、皆様、お元気で新しい歳をお迎えのことと存じます。

今年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 

新年早々、「緊急事態宣言」が出され、今年も大変な一年になりそうです。

そんななか、24時間、365日切れ目なく、介護福祉サービスを提供して、

利用者と地域住民を守ってくださっている皆様には、あらためて感謝

申し上げます。

 

私は、神奈川県に住んでいますので、多くの方から「コロナは大丈夫

ですか。気をつけてくださいね。」という温かいお言葉を掛けて頂いて

おります。

この場をお借りしてお礼申し上げます。

 

テレビで「行く年来る年」が始まる頃、近くのお寺に初詣に行くのが、

私の年中行事になっていますので、今年も行ってきました。

例年ですと、明け方まで「お炊きあげ」の火が煌々と寺院全体を照らし、

除夜の鐘を打つために長蛇の列ができていますが、今年は、だれ一人

としていない、真っ暗な、異様な初詣でした。

 

さて、このメルマガも月1回という少ない発信ながら、昨年12月の第30号

で一区切りつき、今月で31回を数えることができました。

 

この間、体調も崩さず、続けてこられたことに感謝しています。

イチローさんが仰っている「小さなことを重ねることが、とんでもない

所へ行く唯一の道」という言葉を胸に刻んで、「小さなことをコツコツと」

続けていきたいと考えています。

 

 

今月のテーマは、

 

ノーブレス・オブリージュ

 

です。

 

緊急事態宣言には、色々なご批判もあるようです。

緊急事態宣言に限らず、このコロナ禍で出される政策の多くに批判が

集まっています。

制度政策に100%はありませんから、不備を突こうと思えば、どこにでも

ケチは付けられると思います。

また、政策を考えている官僚達は、良かれと思って一生懸命政策立案

しているものと信じます。

 

でも、国民の心に響かないのは、なぜなのでしょう。

これだけ多くの不協和音が拡がるのは、なぜでしょう。

 

特権を持っている上の層の人間が、特権を持たない多くの国民に対して、

「愛情がない」ことが根底にあるように感じます。

 

つまり、「ノーブレス・オブリージュ」(選ばれし者の責任)がないの

です。

 

そこには、特権を持った「お上意識」しか感じられません。

 

昨年の最初の緊急事態宣言の時、「国民に気の緩みがある。」と言った

閣僚がいました。

「気が緩んでいる」という言葉は、目上の人間が、目下の人間に使う言葉

だと言った人がいます。

 

また、「若者が感染を拡げている。」と大っぴらに批判した知事もいま

した。

国民を分断する発言です。

 

まともな企業なら、「個人攻撃はしてはいけない。」ということが不文律

になっています。

トップが、自ら率先してそのようなことを発言したら、組織の健全性など

保てません。

 

本来なら、国民の一体感を醸成しなければならない立場の政治家、上の層

の人間が、敢えて国民を分断するようなことを、平気で行っているように

思います。

 

「保育園落ちた。日本死ね。」と若い母親がツイートしたことが、国会で

大々的に取り上げられ、それがあたかも正義かのように喧伝されたとき、

私はとても嫌な感じを受けました。

意図を持ったキリトリをして、それを国会で取り上げ、国民を分断した

のです。

 

確かに、多様化した価値観と意識が分断している国民に対して、一様に

愛情を注ぐのは、難しいことかもしれません。

 

「今だけ、カネだけ、自分だけ」という風潮が拡がっているのも事実です。

 

「ノーブレス・オブリージュ」をウキペディアで引くと、

富裕層、有名人、権力者、高学歴者が「社会の模範となるように振る舞う

べき」という社会的責任を指す、とあります。

 

選ばれし者が、社会の模範とならなければ、「今だけ、カネだけ、自分

だけ」という人たちが増えるでしょう。

 

 

翻って、われわれ経営者はどうでしょうか。

 

「ノーブレス・オブリージュ」(選ばれし者の責任)として、従業員に

愛情を注いでいるか。

色々な特権や権限を持った経営層が、特権や権限を持たない従業員に

愛情を傾けているか。

 

稲盛会長の京セラの経営理念は、

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展

に貢献する」です。

 

経営トップが、みずから全従業員の幸せを願っています。従業員に対する

愛情です。

 

「何でも良いから生産性を上げろ」などとは、ひと言も言いません。

 

全従業員の幸福が、結果として人類、社会の進歩発展に貢献することに

なるのだと明言しています。

 

われわれも「利用者満足」を上げろなどの、「大義名分」で誤魔化

していないか。

 

失礼かもしれませんが、「利用者満足」だけに偏るのは危険だと思います。

 

今の政治と同じような違和感があります。

 

私も以前、介護事業所の取締役をやっていましたが、「従業員満足」が

先だ。「利用者満足は、その結果だ」と言っていました。

 

社会の最小単位は家族です。つぎが、会社組織だと思います。

家族間の愛情は言うまでもないでしょう。

残念ながら、今はこれも壊れてきています。

そうすると会社組織での愛情が次のテーマではないでしょうか。

経営者が従業員に愛情をかけるような会社組織が、一つでも増えることが、

この国の分断を止めることにつながるのではないか。

私はそう考えています。

 

「今だけ、カネだけ、自分だけ」という風潮が拡がって、皮肉なことに

人材派遣・紹介会社だけが繁栄しています。

 

この流れを止められるのは、志を持った愛情のある経営者ではないか。

 

今日はここまでにします。

 

 

皆さんのご意見をお聞きしたいと思っています。

異なる意見を戦わせて、より良い知見を導き出すことが発展につながり

ます。

是非、率直なご意見をお聞かせください。

 

新刊が出ます

 

「福祉ビジネスと業界のカラクリがよくわかる本」(秀和システム)が

やっと2月に出版されます。

当初、11月中旬の出版予定でしたが、想定より大幅にページ数が増えた

ことやコロナ禍の影響で、出版が延び延びとなってしまいました。

関係各位へ、ご迷惑をお掛けしましたことをお詫びします。

 

 

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