稼働率は結果でしかない

福祉マネジメントラボ

046-890-0856

〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77

稼働率は結果でしかない

メールマガジン

2021/10/10 稼働率は結果でしかない

 

 

稼働率は確かに重要な指標ですが、あくまでも結果でしかありません。

 

「稼働率を上げろ」といくら叫んでみても現場は反応してくれません。

 

却って、利用者の安心安全をどう考えているのかという反発になって

 

返ってくることも少なくないのではないでしょうか。

 

 

過去にも何度か書いたと思いますが、稼働率を上げるためには、その

 

結果を導き出すためのプロセスとなる指標を吟味して、そのプロセス

 

指標を月次で追っていく必要があります。

 

特養の場合で考えてみましょう。

 

特養のプロセス指標は以下の3つです。

 

①入院日数 ②空床から入居までにかかった日数 ③営業訪問回数

 

 

まず①入院日数ですが、これは満床に近い状態の時に有効な指標になります。

 

この満床に近い状態の時に稼働率を低下させる要因は、入院日数の多寡です。

 

現場と先月の入院日数を共有して入院日数を減らす仕組みつくりに取り組んで

 

もらいます。

 

入院日数を減らすためにはどうすればよいか。

 

看護師さんに聞いてみると色々なアイデアやヒントが浮かんできます。

 

ある特養の看護師さんは、発熱者を早期に発見して、服薬等の適切な

 

治療を行えば、入院にまでは至らないと教えてくれます。

 

また、別の特養の看護師さんは、早期の通院が入院を予防することに

 

役立つことを教えてくれました。

 

現場は多くの場合、その理由を知っています。

 

後は介護職等の他職種といかに連携して早期発見、早期通院につなげるか

 

、これを実行していただくことで、確実に入院日数が減っていきます。

 

それが結果的に稼働率の上昇となって表れるわけです。

 

現場スタッフの皆様には、現場のサービス向上が、稼働率向上という経営改善に

 

即つながることを理解してもらう必要があります。

 

現場がこれを実感しますと、喜んで入院削減に取り組んでくれるように

 

なります。

 

 

つぎに②空床から入居までにかかった日数ですが、こちらは空室が目立つ

 

場合に有効な指標です。

 

入居までの仕事をすべて生活相談員に一任していると、これが1日1日延びて

 

いきます。

 

ですから、施設長等のトップは、入居するまでの目標日数をあらかじめ決めて、

 

現場に伝えておいて、目標を共有しておく必要があります。

 

さらには、現場にも働きかけて速やかな入居に協力するようお願いしておく必要も

 

あります。

 

こうしたマネジメントが利いていないと、いくら生活相談員一人が頑張ったところで

 

そのような困難ケースは受け入れられませんなどと現場の抵抗にあって、入居が延び延び

 

なっていきます。

 

施設長等のトップが、目標を設定して、現場スタッフ全員に共有し、現場一人一人を

 

巻き込んで始めて、入居までの日数が改善されるようになります。

 

 

私がコンサルに入っているある法人の管理者は、数字を共有して、いかにスタッフ全員

 

を巻き込むかが、経営改善には欠かせないという話をしてくれました。

 

現場の管理職が、このような意識を持ってくれるかどうかがとても重要です。

 

 

最後が③営業訪問回数です。

 

待機者はどこも減少傾向です。近くにサ高住やグループホームが多い地域では、この状況

 

が顕著なような気がします。

 

また、高齢者自体が減ってきているような地域もあります。

 

ですから、待ちの姿勢では待機者はどんどん減ってしまいます。

 

 

福祉にも営業が本当に必要になっています。

 

福祉専門職にこのことを心から理解してもらう必要があります。

 

ある法人では、居宅介護支援事業所はもちろんのこと、近くの老健、サ高住、グループホーム

 

特定施設、小多機、病院、地域包括をリストアップして営業訪問してくれています。

 

最近は対面が難しいのでお手紙を書いたりして、新規利用者を確保するなど懸命な努力をして

 

くれています。

 

私の経験では、営業を開始してだいたい半年を過ぎたあたりから、新しい利用者の確保につな

 

がっていくようです。地道で継続的な取り組みが必要になります。

 

逆に営業をしなくなると3カ月位で稼働率が落ち始めます。

 

上げるのは難しく、下げるのは簡単なのです。

 

営業を定着させるためには、現場のモチベーションが下がらないように、日頃からのトップの

 

声掛けやねぎらいが必要になってきます。

 

 

以上、稼働率はただの結果でしかない。稼働率を上げろと叫んでみても現場は反応しない

 

ということについて書いてみました。

 

皆様のご参考になれば、誠に幸いです。

 

 

 

お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。

次の第41号は11月10日頃に配信致します。

以上、
1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等

差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見くださると、

テーマ選定や内容を考える上での参考になりますので、お気軽にご返信

を頂けますと幸いです。
※感想やご意見は、当方の励みになりますので、是非宜しくお願い申し上げます。

 

 

福祉マネジメントラボ

電話番号 046-890-0856
住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77

TOP