本を出版するプロセス

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本を出版するプロセス

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2022/05/10 本を出版するプロセス

最近は、結果よりそこへ至るまでのプロセスの方に興味関心が

 

集まる時代のようです。

 

昭和の大量生産・大量消費の時代には、出来上がった製品を手

 

にすることが最終目的でしたが、今のように価値観が多様化し

 

ている時代には、その製品やアウトプットがどのようにして

 

作られたのか、そのプロセスにより興味の中心が移っている

 

そうです。

 

ビジネスの世界でも、最終成果物よりは、その作成者何を

 

意図し、どのような志のもと、どんな過程を経て、それ出来

 

上がったのか、そのプロセスの方により興味が集まってとい

 

う話を聞くようになりました。

 

 

私も過去に何冊か本を出していますので、今日は、本を出版する

 

プロセについて、私の経験をお話してみたいと思います。

 

いつもと毛色の違う話ですが、宜しければお付き合いください。

 

 

ご存じの方も多いと思いますが、ビジネス出版には大きく分け

 

て商業出版と企画出版の二つがあります。

 

 

商業出版は、出版社がマーケット調査をして、今後こんな本

 

が売れるのではないかという予測のもと、編集者が企画を練

 

り、それを書いてくれそうな筆者を探すところから始まります。

 

そして、筆者が決まったら、その筆者と何回かの打ち合わせ

 

を経て、それをベースに編集者がブラッシュアップした企画書

 

を編集会議に掛けます。

 

その後、何回かの編集会議を経て、最後に取締役会議で出版が

 

決定されるというのが、商業出版の一般的な流れだと思います。

 

 

ちなみに1冊の本を出すためには、初版3000部として、表紙

 

のデザイン料、本の装丁製本、発行費用を合わせると大体

 

4百万円前後掛かります。

 

この4百万円には出版社のスタッフや筆者の人件費は入って

 

いません。

 

多くのビジネス出版の場合、初版は3500部程度刷られます。

 

蛇足ですが、稲盛さんのような有名な方が書いた場合は、

 

7000部程度のようです。

 

 

このように初期投資が4百万円前後掛かりますので、初版が

 

あまり売れないと出版社は赤字になります。

 

初版がある程度売れて、2刷り目以降重版されるようになると

 

出版社の利益が少しずつ積み上がっていくわけです。

 

ちなみに毎年出版されるビジネス書で重版される割合は10%

 

程度だといわれています。

 

出版される多くの本が初版で絶版になります。

 

 

一方、企画出版とは、本を書きたいと思った人がこのような内容

 

の本を出したいと考えて、企画を練り、出版社に持ち込みます。

 

出版社はその企画書を読んで売れそうと判断すれば企画が採用さ

 

れて出版へと進みますが、あまり売れそうではないと判断された

 

ときはボツになります。

 

最近は、あまり売れそうではないと判断された本でも、初版の

 

うちの何千部かを筆者が買い取る条件で出版してくれる出版社

 

もあります。仮に1冊が2千円として、3,000冊を筆者が買い

 

取るとしたら6百万円掛かります。

 

こうなるとはぼ自費出版ということになります。

 

話が逸れますが、最近では、某有名出版社でも1千万円で本

 

を出しますというビジネス出版を積極的に展開するようになっ

 

ています。

 

 

私は最初、商業出版で本を出しました。

 

当時私は、都内のある経営コンサルタント紹介サイトに登録

 

していました。

 

ちなみにその紹介サイトには、覚えていらっしゃる方がいるか

 

どうか分かりませんが、ショーンKという経歴詐称で一時、

 

週刊文春やテレビのワイドショーネタで騒がれた経営コンサル

 

タントも登録していました。

 

 

 

私が初めて商業出版で本を出すようになったいきさつは、その

 

紹介サイトに、ある出版社から介護福祉業界に詳しいコンサル

 

はいないかとの問い合わせがあり、その紹介サイトの社長が私

 

を推薦してくれたことで、その出版社の編集者にお会いするこ

 

とから始まりました

 

その方の第一印象は、いかにも出版社の編集者といったイメー

 

の方で、長身で立派な髭を蓄えた40代後半の男性でした。

 

 

その編集者と数カ月のうち、3回程度打合せでお会いした後、

 

その編集者は、「これから何回かの編集会議を経て出版するか

 

どうかを決定することになります。」と言いました

 

 

皆さんが読んでくださるような本が書けるかどうかは別として、

 

自分の名前が書かれた本が、初めて本屋に並ぶことを想像して、

 

当時、出版が決まるのを祈るような気持ちで待っていたような

 

記憶あります。

 

そして、数カ月経ったある日、!!祝 出版決定!!という

 

タイトルの電子メールが来たことを今でも覚えています。

 

と同時に、これからが大変だなぁという思いも沸き上がりました。

 

書き始めるにあたっては、何から何まで初めてのことなので

 

随分と戸惑うこともありました。

 

編集者からの最初の注文は、7章構成で250ページで書いて

 

欲しいというものでした。

 

まず初めに7章構成の目次を書くところから取り掛かりました。

 

コンサルでお客様の中期経営計画を作成するときなども同じです

 

が、まずは全体の構成を練った後、各論に入っていきます。

 

その時のプロセスと同じ流れで本の目次案も作っていきました。

 

編集者に目次案を提示すると色々なチェックが入った記憶が

 

あります。

 

目次案ができますと全体の構成がより明確になります。

 

イメージ的には6割方は、完成したような気になります。

 

後は、これに沿って、書き進めて行くだけだと思ったのも

 

束の間、実際書き始めますと、中々筆が進みません。

 

自分の頭の中にある知識を文章にしようとするとつながって

 

いかないのです。

 

本を書くとか、中期経営計画を策定するなどの作業は、頭の

 

中にある知識の断片をつなぎ合わせる創作活動に思えます。

 

知識の断片と断片をつなぎ合わせる際、第三者に分かって

 

もらうためには、それをつなぐ接着剤のようなものが必要に

 

なります。

 

この接着剤が創作活動においては大事であり、その接着剤

 

になるものを色々調べて探したり、頭の中で考えて作り出

 

していく作業がまさに創作であり、断片的な知識を体系化

 

することにつながるのではないかと思います。

 

ある意味、本を書くというような創作活動は、いくつかの

 

知識の断片棚卸して、人様にも分かるように体系的し直す

 

作業のような気がします。

 

 

 

本を書く場合と中期経営計画などを策定するコンサルの場合との

 

大きな違いは、そこに第三者としての編集者の存在があるかどうか

 

ではないかと感じています。

 

本を書く場合は、1章ごとに編集者の校正が入ります。

 

ここの表現は分かりにくいので、このような表現に変えたらどうか

 

や、この文言の出典は何かなど、いちいち根拠を問われます。

 

そういう意味では、第三者の添削を経ないで発信されるネット

 

情報などと比較して、出版された本の信用度は大きいと思います。

 

が一方で、筆者の個性も削り取られます。

 

私も出来上がった最初の本を読んでみて、果たしてこれは私が

 

本当に書いた本なのかと疑問に思う程、私独自の表現は削り取

 

れていました。

 

そもそも商業出版は、出版社が出したいと思う本のイメージが

 

最初にあって、それをその筋の専門家に書いてもらうという

 

スタンスですので、筆者の思いや表現は、だいたい6割方しか

 

反映されません。

 

そうでなくてもその本で扱うテーマは、あらかじめ決まって

 

いますので、自分の主張を展開するには限界があります。

 

商業出版で2冊の本を出してみて、本当に自分が書きたい内容

 

の本を出したいとの思いがだんだんと強くなっていきました。

 

この続きは、来月のメルマガで発信いたします。

 

 

以上、皆様の何かのご参考になれば、誠に幸いです。

お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。

次の第48号は、6月10日頃に配信致します。

1.内容は、興味がもてますか?
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くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま

すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※感想やご意見は、当方の励みになりますので、是非宜しく

お願い申し上げます。

 

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