046-890-0856
〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77
社会福祉連携推進法人についての一考
社会福祉法人は全国に約2万法人ありますが、そのうち5割以上が年間
事業収入3億円未満の小規模法人と言われています。
同時に一法人一施設の法人も5割を超えています。
これら中小零細法人の経営基盤強化を目的とした「社会福祉連携推進法人
制度」が厚労省主導の元、昨年度から推進されていることはご存じの方も
多いと思います。
社会福祉法人に限らず、福祉介護業界は、年間事業収入が1億円前後の
法人企業が非常に多いという実態もあります。
今回は、社会福祉法人を対象としたこの「社会福祉連携推進法人制度」が
福祉介護業界にどのような影響を及ぼすのか、そのことについて考えて
みたいと思います。
まずは、「社会福祉連携推進法人制度」地域共生社会に向けた (mhlw.go.jp)
とはどういうものか、簡単におさらいしておきたいと思います。
厚労省の通知文を読むと、地域共生社会を目指して、高齢者も障害者も児童
も切れ目なく福祉サービスが提供できるように、それぞれの事業を行ってい
る大小様々な法人が連携することによって、高齢から障害・児童までをシー
ムレスに支援できるようにするというようなことが書いてあります。
また、小規模法人が単独で行うことが難しい、人材確保や人材育成など
現在の経営課題を他法人と連携することで、これらの課題を解決すると
いう狙いも同時に掲げられています。
実際、小規模法人では、組織的なリクルート活動を行うことができずに
場当たり的に人材派遣、紹介会社に頼って欠員補充を行い、その結果、
収支を悪化させているケースを多く見かけます。
また、組織を強化する目的で管理職研修などを行いたくても、費用が捻出
できず、業界団体が主催する安価な研修会を受講させるだけで、腰を据えた
人材育成につながっていないケースも少なくありません。
このような実態がある中、複数の法人が連携することによってこれらの課題
を解決していこうということのようです。
しかしながら、このような仕組みで果たして対等な関係を築けていけるで
しょうか。私は少なからず疑問を持っています。
当然ながら、上手くいくケースを否定するものではありませんが、経営基盤
が強固な、大きな法人がこれら中小零細法人を吸収合併し易くするための仕
組み作りではないかという気がしてなりません。
今、社会福祉法人の約4割が赤字法人という現状で、これら赤字法人の
資金が枯渇した時、これを吸収合併するための仕組みづくりではないか
と考えていますが、皆様はどのようにお考えでしょうか。
また、厚労省は、現在2万法人ある社会福祉法人の数を10分の1にすると
いうような話も伝わってきています。施設の数を減らさず、法人の数だけを
減らしていくわけです。
過去、医療保険制度に移行した病院の世界では、放漫経営やどんぶり勘定で
赤字になった零細病院が吸収合併されていき、一部の大病院グループに収斂
されていったという歴史があります。
福祉介護の業界で、それが起きないとは言い切れないのではないでしょう
か。
この「社会福祉連携推進法人制度」が導入される2年前の2020年に厚労省
は、社会福祉法人の吸収合併に関するガイドラインを公表しています。
これが何を意味するのか。
加えて、このガイドラインでは、社会福祉法人が株式会社を吸収合併する
ケースにも触れています。
介護保険制度や障害者支援費制度の環境下で経営が行き詰った法人事業所
が社会福祉法人、株式会社を問わず、吸収合併されていく時代が来るかも
しれません。
いや、株式会社の福祉介護事業所では、それは日常茶飯事になっています。
介護保険制度が導入されて22年、社会福祉法人に限らず、株式会社も含め、
経営持続のための内部充実が、今本当に求められているのではないでしょう
今回は、「社会福祉連携推進法人についての一考」ということで書いてみました。
以上、皆様の何かのご参考になれば、誠に幸いです。
お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。
次の第57号は、3月10日頃に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか? 2.疑問点、ご意見はありますか? 3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※感想やご意見は、当方の励みになりますので、是非宜しく
お願い申し上げます。
福祉マネジメントラボ
電話番号 046-890-0856 住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77
24/11/09
24/10/13
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社会福祉法人は全国に約2万法人ありますが、そのうち5割以上が年間
事業収入3億円未満の小規模法人と言われています。
同時に一法人一施設の法人も5割を超えています。
これら中小零細法人の経営基盤強化を目的とした「社会福祉連携推進法人
制度」が厚労省主導の元、昨年度から推進されていることはご存じの方も
多いと思います。
社会福祉法人に限らず、福祉介護業界は、年間事業収入が1億円前後の
法人企業が非常に多いという実態もあります。
今回は、社会福祉法人を対象としたこの「社会福祉連携推進法人制度」が
福祉介護業界にどのような影響を及ぼすのか、そのことについて考えて
みたいと思います。
まずは、「社会福祉連携推進法人制度」地域共生社会に向けた (mhlw.go.jp)
とはどういうものか、簡単におさらいしておきたいと思います。
厚労省の通知文を読むと、地域共生社会を目指して、高齢者も障害者も児童
も切れ目なく福祉サービスが提供できるように、それぞれの事業を行ってい
る大小様々な法人が連携することによって、高齢から障害・児童までをシー
ムレスに支援できるようにするというようなことが書いてあります。
また、小規模法人が単独で行うことが難しい、人材確保や人材育成など
現在の経営課題を他法人と連携することで、これらの課題を解決すると
いう狙いも同時に掲げられています。
実際、小規模法人では、組織的なリクルート活動を行うことができずに
場当たり的に人材派遣、紹介会社に頼って欠員補充を行い、その結果、
収支を悪化させているケースを多く見かけます。
また、組織を強化する目的で管理職研修などを行いたくても、費用が捻出
できず、業界団体が主催する安価な研修会を受講させるだけで、腰を据えた
人材育成につながっていないケースも少なくありません。
このような実態がある中、複数の法人が連携することによってこれらの課題
を解決していこうということのようです。
しかしながら、このような仕組みで果たして対等な関係を築けていけるで
しょうか。私は少なからず疑問を持っています。
当然ながら、上手くいくケースを否定するものではありませんが、経営基盤
が強固な、大きな法人がこれら中小零細法人を吸収合併し易くするための仕
組み作りではないかという気がしてなりません。
今、社会福祉法人の約4割が赤字法人という現状で、これら赤字法人の
資金が枯渇した時、これを吸収合併するための仕組みづくりではないか
と考えていますが、皆様はどのようにお考えでしょうか。
また、厚労省は、現在2万法人ある社会福祉法人の数を10分の1にすると
いうような話も伝わってきています。施設の数を減らさず、法人の数だけを
減らしていくわけです。
過去、医療保険制度に移行した病院の世界では、放漫経営やどんぶり勘定で
赤字になった零細病院が吸収合併されていき、一部の大病院グループに収斂
されていったという歴史があります。
福祉介護の業界で、それが起きないとは言い切れないのではないでしょう
か。
この「社会福祉連携推進法人制度」が導入される2年前の2020年に厚労省
は、社会福祉法人の吸収合併に関するガイドラインを公表しています。
これが何を意味するのか。
加えて、このガイドラインでは、社会福祉法人が株式会社を吸収合併する
ケースにも触れています。
介護保険制度や障害者支援費制度の環境下で経営が行き詰った法人事業所
が社会福祉法人、株式会社を問わず、吸収合併されていく時代が来るかも
しれません。
いや、株式会社の福祉介護事業所では、それは日常茶飯事になっています。
介護保険制度が導入されて22年、社会福祉法人に限らず、株式会社も含め、
経営持続のための内部充実が、今本当に求められているのではないでしょう
か。
今回は、「社会福祉連携推進法人についての一考」ということで書いてみました。
以上、皆様の何かのご参考になれば、誠に幸いです。
お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。
次の第57号は、3月10日頃に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※感想やご意見は、当方の励みになりますので、是非宜しく
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