今年の中小企業白書を読んで

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今年の中小企業白書を読んで

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2024/05/11 今年の中小企業白書を読んで

5月10日に発表された2024年中小企業白書(中小企業庁)を読んでみて、

 

われわれの福祉介護業界に照らし合わせながら考えたことを書いてみたい

 

思います。

 

まずはじめに、中小企業の定義を確認しておきたいと思います。

 

中小企業庁では、中小企業の定義を以下のように定めています。

 

・製造業その他:資本金3億円以下又は、常時使用する従業員数が300人以下

 

・卸売業:資本金1億円以下又は、常時使用する従業員数が100人以下

 

・小売業:資本金5千万円以下又は、常時使用する従業員数が50人以下

 

・サービス業:資本金5千万円以下又は、常時使用する従業員数が100人以下

 

われわれ福祉介護事業は、サービス業ですので、資本金5千万円以下又は、

 

常時使用する従業員数が100人以下の会社組織が中小企業ということになり

 

ます。加えて、今の介護報酬や障害者支援報酬からみて、年間売上(収入)

 

で考えた場合、億円前後ということになるのではないでしょうか。

 

この定義に照らし合わせると、福祉介護業界では、私の肌感触ですが、7~

 

8割の法人事業所が中小企業に分類されるのではないかと考えています。

 

さて、それでは、「中小企業白書」の中身に触れて行きたいと思います。

 

この白書によりますと、中小企業の経営課題の内訳としては「売上不振の

 

ほか、原材料高や求人難の割合が高い状況」とされています。

 

これは、われわれ福祉介護業界においても当てはまることではないでしょう

 

か。とりわけ、福祉介護事業においては、他業種と比べた場合、コロナが5

 

類となった現在でも、引続き、コロナによる制約が続いており、それが売上

 

減少をもたらしています。一方で、原材料(光熱水費・食材等)の高騰に対

 

しては、国の物価高騰助成金などがあるため、あくまで他業種と比べた場合

 

すが、その影響は少ないと考えられますが、ただ、他業種のように価格

 

(単価)に転嫁できないとう問題もはらんでいます。

 

そして、求人難(人手不足)の問題ですが、白書では、「生産年齢人口の

 

減少を補う形で女性・高齢者の就業が進んできたが、足元は就業者の増加

 

が頭打ちとなり、人材の供給制約に直面している」と分析しています。

 

女性や高齢者の就業者数の増加が今後見込めない状況にあって、「人材の

 

供給制約に直面」とは、まさに人材紹介派遣業への更なる依存を示唆して

 

いるように感じます。

 

また、現在、毎年4年制大学を卒業する人たちが80万人程度で推移してい

 

ることを考えると、大学新卒者の採用競争は益々激しくなるのではないで

 

しょうか。

 

こうしたことから、人手不足は、何もわれわれの業界に限ったことではない

 

ことが理解できます

 

一方で、人材を十分に確保できている企業では、「働きやすい職場環境・制

 

度の整備が進んでいる」と指摘しています。具体的には、

 

①働きやすい職場環境作り

 

②定年延長やシニアの再雇用

 

③福利厚生の充実

 

④公平で公正な人事評価

 

人材を十分に確保できている企業では、これらに取組んでいると分析して

 

います。

 

このメルマガでも繰り返し訴えていますが、「働きやすい職場環境作り」

 

とは、従業員の価値観合せだと思います。一人一人がまちまちの介護観、

 

仕事観で働いている職場は、本当に働きにくいです。行動規範の浸透や

 

理念研修の繰返しの開催など、アプローチはいろいろあると思いますが、

 

「利用者、利用者」ばかりじゃなくて、職員同士の意思疎通が大事だと

 

いうこと第一に考える必要があります。

 

そして、福利厚生の充実です。人材確保に苦労していない優秀な法人企業

 

は、売上の1%を福利厚生に使っているというお話を以前紹介したことが

 

あると思います。仮に5億円の年間売り上げがあるとしたら、その1%の

 

500万円を毎年、福利厚生に充ててみたらどうかという話です。給料が安

 

いということばかりが取りざたされますが、福利厚生とは、経営者の従業

 

員に対する愛情です。物理的なものにばかり目を奪われて、精神的な愛情

 

を忘れてしまえば従業員はついてこないのではないか、私はそのように感

 

ます。

 

白書では、人材の確保に向けては、「職場環境の整備」が極めて重要であ

 

ると結んでいることを考えますと人材確保の要諦は、業種に関係ないもの

 

と考えるべきではないでしょうか。

 

中小企業白書では、まだまだ興味深い分析がありますので、次号でも引続

 

き書いてみたいと思います

 

今月は、中小企業白書を読んで感じたことを書いてみました。

 

以上、皆様の何かのご参考になれば、誠に幸いです

 

お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。

 

次の第72号は、6月10日頃に配信致します。

 

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