046-890-0856
〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-77
世代交代で重要なポイント
経営コンサルの存在意義は、経営者の悩みを共有するとこ
ろから始まるのではないか、日頃からそのように考えてい
ます。経営者は、孤独であり、実に様々な悩みや経営課題
を抱える立場だと思います。経営者が100人居れば100通
りの悩みがあります。コンサルツールや定型フォーマット
ではどうにもならない悩みに出くわすことも少なくありま
せん。
8年ほど前になりますが、ある経営者から世代交代につい
ての悩みを相談されたことがありました。当時の私は、そ
の悩みに対する処方箋をなかなか見つけることができず、
何かヒントになるような考え方がないものかと色々と模索
をしていました。壁にぶち当たると私はいつも松下幸之助
さんに答えを求めますので、色々と本も読み返したのです
が、答えらしきものが見つかりません。そこでかねてから
一度行って見たいと思っていた京都にある松下資料館に行
くことにしました。
3人で始めた町工場を30万人の従業員を抱える世界的企業
へと成長発展させた松下幸之助は、経営者として何を考え
ていたのか。その足跡を辿ることで何か軸となる考え方に
触れることができるのではないだろうか。その一心で松下
資料館を訪ねました。
奇しくもその日は私の還暦となる誕生日の日でした。還暦
とは「最初に戻る」という意味があるそうです。コンサル
の仕事を始めて20年が経っていましたが、私も初心に戻っ
て、何とか経営者の悩みと対峙できないだろうかと2時間
半ほど滞在しました。松下資料館を運営しているPHP研究
所の幹部の方から講話を聞いた後、展示物をじっくりと見
て回りながら、幸之助さんの足跡をたどりました。幸之助
さんは、世代交代に際して何を考えたのだろうか。
そして、その結果、導き出された答えが「経営理念を明確
にして、責任と権限を委譲すること」でした。
創業者は大抵がカリスマ的存在です。カリスマ創業者がい
る間は、その人自身が松明の灯火ですので、そこを目印に
従業員は進んでいけばいいわけですが、その存在がいなく
なった時、経営理念がその松明の明かりになります。です
からその経営理念を明確にして、それを組織の判断基準に
しなければならないと思います。それがないと組織の求心
力は失われしまうのではないでしょうか。経営理念を浸透
させた上で、その次に責任と権限を委譲する。責任と権限
とは一体のものです。カリスマ経営者の場合、良くも悪く
も責任と権限がその人に集中することがあります。
しかし、そのカリスマ経営者がいなくなった時、責任と
権限を職責に応じて委譲していく必要が出てくるのでは
ないでしょうか。新しく経営者になった者の責任と権限
、運営管理者としての施設長の責任と権限。課長として
の責任と権限。現場リーダーの責任と権限。こうした階
層化のもと、責任と権限を整備することが、カリスマ経
営者がいなくなった後の組織のあり方ではないか。
委譲とは当然ですが、上から下へ落とすものです。
幸之助さんは「責任と権限をできるだけ移譲する」と
いう話の中で「人間だれしも、信頼され、責任と権限
が与えられれば、自分なりに創意工夫を働かせ、努力
し、その責任を全うしようとする。それをよく見守り
助成していくところから、経営感覚豊かな人材が育っ
てくる。」と語っておられます。つまり、権限委譲こ
そが経営の分かる人材を育成することにつながるとい
う訳です。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、
ABC分析というのがあります。
Aは「自分しかできないこと」、Bは「自分がやった
方がうまくやれること」、Cは「自分じゃなくてもで
きること」。今、自分がやっている仕事の中で、まず
は「C」を切り出して直属の部下にやってもらうよう
にする。部下が責任を全うしようとする努力を助けて
、成長したら今度はBをやらせてみて、さらに育成し
ていく。こうして一人のスタッフが成長していくこと
で組織も成長していく。このPDCAを続けることが部
下を持つ全ての役職者の大事な役割ではないでしょうか。
最後に蛇足になりますが、件の松下資料館を訪ねたとき
拙著2冊を寄贈しようと思い、持参しましたところ快く
受け取ってくださいました。そのことで松下幸之助さん
と何かつながったような気がして、とても嬉しい気持ち
になって帰ってきたことを覚えています。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。
次の第91号は、1月中旬に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか? 2.疑問点、ご意見はありますか? 3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
※反対意見、賛成意見、ご感想やご意見は、当方の励みになり
ますので、是非宜しくお願い申し上げます。
福祉マネジメントラボ
電話番号 046-890-0856 住所 〒238-0021 神奈川県横須賀市富士見町3-78 レジデント富士見102
25/12/15
25/11/16
25/10/15
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経営コンサルの存在意義は、経営者の悩みを共有するとこ
ろから始まるのではないか、日頃からそのように考えてい
ます。経営者は、孤独であり、実に様々な悩みや経営課題
を抱える立場だと思います。経営者が100人居れば100通
りの悩みがあります。コンサルツールや定型フォーマット
ではどうにもならない悩みに出くわすことも少なくありま
せん。
8年ほど前になりますが、ある経営者から世代交代につい
ての悩みを相談されたことがありました。当時の私は、そ
の悩みに対する処方箋をなかなか見つけることができず、
何かヒントになるような考え方がないものかと色々と模索
をしていました。壁にぶち当たると私はいつも松下幸之助
さんに答えを求めますので、色々と本も読み返したのです
が、答えらしきものが見つかりません。そこでかねてから
一度行って見たいと思っていた京都にある松下資料館に行
くことにしました。
3人で始めた町工場を30万人の従業員を抱える世界的企業
へと成長発展させた松下幸之助は、経営者として何を考え
ていたのか。その足跡を辿ることで何か軸となる考え方に
触れることができるのではないだろうか。その一心で松下
資料館を訪ねました。
奇しくもその日は私の還暦となる誕生日の日でした。還暦
とは「最初に戻る」という意味があるそうです。コンサル
の仕事を始めて20年が経っていましたが、私も初心に戻っ
て、何とか経営者の悩みと対峙できないだろうかと2時間
半ほど滞在しました。松下資料館を運営しているPHP研究
所の幹部の方から講話を聞いた後、展示物をじっくりと見
て回りながら、幸之助さんの足跡をたどりました。幸之助
さんは、世代交代に際して何を考えたのだろうか。
そして、その結果、導き出された答えが「経営理念を明確
にして、責任と権限を委譲すること」でした。
創業者は大抵がカリスマ的存在です。カリスマ創業者がい
る間は、その人自身が松明の灯火ですので、そこを目印に
従業員は進んでいけばいいわけですが、その存在がいなく
なった時、経営理念がその松明の明かりになります。です
からその経営理念を明確にして、それを組織の判断基準に
しなければならないと思います。それがないと組織の求心
力は失われしまうのではないでしょうか。経営理念を浸透
させた上で、その次に責任と権限を委譲する。責任と権限
とは一体のものです。カリスマ経営者の場合、良くも悪く
も責任と権限がその人に集中することがあります。
しかし、そのカリスマ経営者がいなくなった時、責任と
権限を職責に応じて委譲していく必要が出てくるのでは
ないでしょうか。新しく経営者になった者の責任と権限
、運営管理者としての施設長の責任と権限。課長として
の責任と権限。現場リーダーの責任と権限。こうした階
層化のもと、責任と権限を整備することが、カリスマ経
営者がいなくなった後の組織のあり方ではないか。
委譲とは当然ですが、上から下へ落とすものです。
幸之助さんは「責任と権限をできるだけ移譲する」と
いう話の中で「人間だれしも、信頼され、責任と権限
が与えられれば、自分なりに創意工夫を働かせ、努力
し、その責任を全うしようとする。それをよく見守り
助成していくところから、経営感覚豊かな人材が育っ
てくる。」と語っておられます。つまり、権限委譲こ
そが経営の分かる人材を育成することにつながるとい
う訳です。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、
ABC分析というのがあります。
Aは「自分しかできないこと」、Bは「自分がやった
方がうまくやれること」、Cは「自分じゃなくてもで
きること」。今、自分がやっている仕事の中で、まず
は「C」を切り出して直属の部下にやってもらうよう
にする。部下が責任を全うしようとする努力を助けて
、成長したら今度はBをやらせてみて、さらに育成し
ていく。こうして一人のスタッフが成長していくこと
で組織も成長していく。このPDCAを続けることが部
下を持つ全ての役職者の大事な役割ではないでしょうか。
最後に蛇足になりますが、件の松下資料館を訪ねたとき
拙著2冊を寄贈しようと思い、持参しましたところ快く
受け取ってくださいました。そのことで松下幸之助さん
と何かつながったような気がして、とても嬉しい気持ち
になって帰ってきたことを覚えています。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。
次の第91号は、1月中旬に配信致します。
1.内容は、興味がもてますか?
2.疑問点、ご意見はありますか?
3.その他、感想、希望テーマ等
差し支えない範囲で、日々お考えになっていることをご意見
くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま
すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。
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