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2019/02/12 メルマガ通信第5号

今回は「組織風土」について考えてみたいと思います。

 

そもそも組織とは、どのようなものでしょうか。

 

組織とは簡潔に「目的+集団」と定義できます。

 

辞書を引くと「数人の歩行者が道路をふさぐ石を動かすことを目的に、一人の指図で全員が力を合わせるとき、そこに小さい一時的な組織が形成される。」

というたとえが載っています。

 

偶然に集まった集団に共通の目的ができると集団から組織に変わるわけです。

 

言い換えますと共通の目的がない限り、いくら人が集まってみても、集団は単なる集団のままということになります。

 

共通する目的とは、ここでも経営理念ということではないでしょうか。

 

少なくとも、そこで給料をもらうことではないと思います。

 

経営理念を価値基準として共有している従業員が、多ければ多いほど一体感のある組織ができあがるのではないでしょうか。

 

・4つの組織風土

 

単なる集団と組織はどのように違うのか、ここでもマトリックスを使ってみていきたいと思います。

価値観と秩序を縦軸にして、情報の伝達を横軸に置くと4つの象限が表れます(図1参照)。

 

右上―「一体感のある組織」

価値観や秩序、つまり施設の中で働く上でのルールが共有されていて、かつ、情報の伝達もスムーズな集団です。

 

情報の伝達というのは、上からの方針や決定事項、さらには仕事に必要な情報が漏れなく関係者に行き渡るというイメージです。

 

何らかの変更や決定がなされたら、そのことが関係者にすぐに浸透するという感じでしょうか。

 

経営陣からの方針や決定が歪められることなく、末端まで落ちていく。

 

一方で、現場の情報も経営陣にそのまま上がってくる。

 

また、経営層が意識的に権限委譲を行なっていて、現場が判断できるように意思決定の裁量も与えています

 

もっとも理想的な組織ではないでしょうか。生産性も高いでしょう。正に1+1が3にも4にもなる組織です。

 

多少の人手不足でもチームワークで乗り越えられる施設のように感じます。

 

左上―「権威主義的組織」

価値観や秩序としてのルールは、ある程度共有されているものの、

 

上からの方針や決定事項、さらには仕事に必要な情報が現場に浸透しない集団です。

 

意図的に上だけが握って、下に伝えていない場合もあります。

 

経営陣が何を考えているのか現場は分かりません。

 

また、現場で起きている問題や前向きな提案なども上に上がっていきません。

 

何か事が起こっていても、大きな問題に発展するまで表面化しません。

 

そもそも上が「ああせい、こうせい。」と指示をするだけで、現場での判断や決定を良しとしないため、従業員が自分で考えるという習慣がありません。

 

日頃は決められたことを淡々と行なっていますが、何か突発的な出来事が起きて、判断が必要な時は上にお伺いを立てるのが常態となっています。

 

右下―「仲良しグループ」

職場で働く上での価値観やルールは共有されていませんが、情報だけは色々と飛び交っているような集団です。

 

多くの場合、私的な感情、つまり好き嫌いで集団を形成しています。

 

趣味や話が合うなどの理由で自然発生的に派閥ができています。

 

声の大きな従業員が派閥を仕切っていて、トップの方針や決定事項などは重要視されず、派閥で決めたことをルールにしていたりします。

 

組織というより単なる集団と考えられます。

 

左下―「烏合の衆」

職場で働く上での価値観やルールも共有されていませんし、情報も共有されていない集団です。

 

みんなが自分の思いや価値観だけで働いています。

 

こっちのやり方がいいとか、こうした方がいいとか手段手法の争いなどが多くみられます。

 

施設を利用者の居場所とだけ考えて、自分たちの大事な会社、職場と考える視点がないと施設も組織として機能せず、

 

単なる集団のままになってしまうような気がします。

こうしてみると集団が組織になるためには目的となる価値観が共有されていることと

 

他人同志で一緒に何かをする場合の働く上でのルールが守られていることが重要だということが分かります。

 

実際、組織的な問題を抱えている法人施設は、「権威主義的組織」と「仲良しグループ」とのミックス、

 

あるいは「権威主義的組織」と「烏合の衆」とのミックスで、それぞれの比重は様々あるように感じます。

 

私は現場リーダーの研修などで「チーム効率」を体感できるゲームに取り組んでもらっています。

 

紙を切って、輪っかにしてそれをつなげる簡単なゲームです。

 

よくお誕生会などで天井からぶら下がっているあの紙の輪っか作りです。

 

元は、アメリカの海兵隊の訓練ツールらしいのですが、それを日本流にアレンジしたものです。

 

5~6人のグループになってもらい、最初は、一人一人で作ってもらいます。

 

時間は3分間と決めて取り組んでもらいます。だいたいの方が10コ前後作れます。

 

仮に5人のグループの場合、合計すると50コ前後できるわけです。

 

次にグループのみんなで協力して作ってもらいます。同じ3分間です。

 

そうしますと個人でやったときに比べて、遙かに多い80コの輪っかを作れるチームがあります。

 

個人でやったときの1.6倍の生産性です。

 

一方、30コしか作れないチームもあります。6割しか個人の力が発揮されないのです。

 

目標は極めてシンプルで、できるだけ、多くの紙の輪っかを作ってそれをつなげるというものです。

 

目標を共有して、ルールを決めて個々人の得手不得手を上手くカバーし合うことのできるチームは個人個人でやるより1.6倍以上の生産が生まれるのです。

 

正に1+1が2以上になります。

 

しかしながら、シンプルな目標にも係わらず、大きさや長さにこだわったりして、中々目標が共有されず、

 

さらには「こうした方がいい」とやり方を押しつける人が複数いたりして個人の時よりも6割しかその力を発揮できないチームもあります。

 

1+1が0.5にしかならないのです。ここに組織か集団かの一つの答えがあるように思います。

 

決定や方針が浸透しないのはなぜか

法人施設では、現場のスタッフから「そんな話は知りません。聞いていません。」という言葉がしばしば聞かれます。

 

また、トップが決定した方針がいつまで経っても浸透しないことも少なくありません。

 

なぜ、このようなことが起きるのか。

 

このような施設・職場では、従業員は、専門職として利用者中心の仕事の仕方になっています。

 

大体が職種で働いています。課長や係長といった中間管理職の立場で働かなくてはならない人たちも、

 

一生活相談員や一介護職として働いていたりします。

 

とにかく、利用者ファーストです。そうした所では、利用者のケアに手間取ったという理由で重要な会議に遅れてきても問題になりません。

 

要するに職種で仕事をしていますので、組織の方針や決定、会議は時間厳守というルールより利用者の方が優先されます。

 

生き死にの問題なら別ですが、全ての優先順位が利用者ファーストでは困ります。

 

課長や係長といった中間管理職がトップの方針や決定を末端にまで伝えきってくれません。

 

利用者より優先順位が低いのです。結果、組織として何かを決定しても「そんな話、知りません。聞いていません。」というおちになります。

 

 

職種で働く専門職集団では、組織としての「上意下達」「下意上達」の文化が根付かないと思います。

 

「あなたの直属の上司は誰ですか。」と問いかけても明快な答えが返ってくることは稀だったりします。

 

これでは組織の決定や方針は浸透しないのではないかと思います。

 

さらには、福祉介護業界特有の特徴があります。

 

福祉介護業界で働く従業員の男女比は2:8です。一般産業の8:2に比べると逆転していて、女性の比率が異常に高い業界です。

 

組織にはレポーティングライン(報告経路)という原則があります。

 

これは直属の上司を飛び越えての「報告・連絡・相談」はあってはならないというものです。

 

報連相は直属の上司にするのが原則です。

 

誤解を恐れずに申し上げますと、女性は職場のレポーティングラインを無視しがちなことがあるようです。

 

簡単に直属の上司を飛び越えてしまうのです。

 

レポーティングラインは、職場での情報伝達のパイプであり、そのパイプを通さないと色々な問題が生じます。

 

人間の体に置き換えると動脈硬化です。どこかが詰まってしまい、血液に相当する情報が流れるべき所に流れていかないのです。

 

悪気があってやっているわけではありませんが、期せずしてこのルール違反が、風通しの良い職場にとってとても重要な、

 

情報の伝達を阻害します。

 

一般的に、女性は感情が先で、話やすい人、相談しやすい人、自分の良さを普段から理解してくれている人、つまり「話したい人」に話をしがちです。

 

悪気はなく、直属の上司ではない別の部署の上司に報告したり、連絡したりします。

 

極端な場合、理事長や施設長といったトップにいきなり話を持って行くこともあります。

 

本当はそこで理事長や施設長、別の部署の上司は、直属の上司を通すようにと教育しなければなりませんが、残念ながらそのまま聞いてしまうことも多いようです。

 

そうしますと直属の上司は、後から他部署の上司や理事長、施設長からその話を聞くことになります。

 

「○○さんからこういう話が来てるんだけど、君聞いてる。ちゃんと対応しておいて。」というようなことにもなりかねません。

 

直属の上司としてはおもしろくありません。疑心暗鬼にもなります。

 

レポーティングラインを無視した、このような情報伝達が至るところで起きている職場では、何が本当なのかがよく分からなくなってしまいます。

 

こうしたことが見過ごされたまま修正されないと、たとえ組織図があったとしても組織図通りには動かない職場になっていきます。

 

「組織図通りに動いてくれない。」と嘆いている経営者も少なくないと思いますが、

 

一般的にこうした女性特有のレポーティングラインを無視した問題があるということを考慮しておく必要があるのではないでしょうか。

 

少し蛇足になりますが、女性の職場だからといって必ずしもそうなっているわけではありませんし、

 

全ての女性がレポーティングラインを無視して働いているとも思いません。

 

私の知る限り、病院の病棟などでは「上意下達」が浸透しているところも少なくありません。

 

レポーティングラインが守られています。

 

その一端は、看護教育にあるのではないかと思っています。

 

知り合いの看護師に聞いた話ですが、看護学の基礎を築いたナイチンゲールは「組織論」を大事にしていたそうです。

 

ナイチンゲールは大きな病院を作ったり、学校を建てたりしていますが、目的を達成するには組織が大事だという認識を持っていたのではないか。

 

それが現在の看護教育にも受け継がれているのではないかと考えています。

 

ある時、病院勤務が長い看護師さんから「福祉施設は、組織的に動きませんね。」という言葉を聞いたことを思い出します。

 

利用者サービスの技術論だけでは組織として動くことはできません。

 

多職種連携が叫ばれるだけで機能しない理由もこの辺りにあるように思います。

 

福祉介護の人材育成のためには、組織の原理原則を教える研修と日々のOJTが必要なのではないでしょうか。

 

以上、何かのご参考になれば誠に幸いです。

 

お忙しい中、最後までお読み下さり、本当に有難うございました。

 

次の第6号は来月12月10日頃に配信致します。

 

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図1.組織風土

 

 

 

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