「決算書を経営改善に活かす法」

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「決算書を経営改善に活かす法」

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2020/05/14 「決算書を経営改善に活かす法」

こんにちは。

 

福祉マネジメントラボの大坪信喜です。

 

医療・福祉介護施設の皆様、日々、地域のご利用者ご家族の命と生活を守ってくださり、

 

本当に有難うございます。

 

水際での感染防止対策で心が休まる暇もないのではないかと拝察致しております。

 

このような時、何もお力になれない、不要不急の存在である私は、篭ってること

 

が一番の貢献と思い、不甲斐ない思いを抱えながら、日々自宅に篭っております。

 

新型コロナの感染拡大により、自宅での自粛を始めたのが41日からですが、

 

今のところ再開の目途が立っておりません。

 

県をまたいだ移動も未だ解禁されていませんので、少なくとも後1ヵ月は

 

自宅での自粛が続くものと考えています。

 

 

「感染防止対策」ということで、長崎県社会福祉協議会が提供している

 

「福祉・介護施設における新型コロナの影響に対する感染症対策」の動画を

 

ネットで見つけましたので、ご参考までにお示しします。

 

http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=345

 

すでにご存知かもしれませんが、1時間程の動画で私も視聴しましたが、とても

 

参考になりました。なかでも、毎朝夕、利用者だけでなく当日勤務の職員も含め

 

37.5℃以上の発熱者の人数を記録し、グラフ化しておくことで、感染の兆しを

 

把握する。発熱者が急に増えたら、その時点で保健所に連絡、初動対応すること

 

で感染拡大を防ぐという話が紹介されていました。

 

検温はしていても、グラフ化しないとどうしても職員の感覚に頼ってしまうこと

 

になって、初動に遅れが生じる可能性が考えられます。そういう意味でグラフ化

 

し、デジタルで把握しておくことは有効な方法ではないかと感じた次第です。

 

(※最近では37.5℃以上というチェックポイントは外されましたが)

 

さて、今月も皆様のご縁に感謝してメルマガをお送り致します。

 

「福祉介護事業の経営者・施設長のためのメルマガ通信」第23

 

今回は「決算書の見方」について考えてみます。

 

そろそろ令和1年度の決算書が出てくる頃かと思います。

 

決算書には損益計算書と貸借対照表とキャッシュフロー計算書があります。

 

社会福祉法人会計の場合、損益計算書は事業活動計算書とよばれます。

 

また、貸借対照表はそのままですが、キャッシュフロー計算書は

 

資金収支計算書といいます。

 

この三表の各々の役割・機能については、ここでは詳しく触れませんが、

 

決算書がお手元に届いたら、まずチェックして頂きたい点があります。

 

別表をご覧ください。

 

いかがでしょうか。

 

別表でお示ししたように財務三表は、それぞれに整合性が取れていな

 

ければなりません。このチェックをしてみて正しかったら、その決算書

 

の仕訳処理は、整合性が取れているといえます。

 

正しい決算書がどうか、最低限このチェックはしておいた方が良いと

 

思います。正しい決算書でなければ、たとえ経営分析したとしても

 

その分析結果は正しくないということになります。

 

ちなみに、資金収支計算書(キャッシュフロー)上の当期末支払資金残高

 

というのは、法人が今すぐ現金として使えるお金です。

 

一方、事業活動計算書(損益計算書)上の次期繰越活動収支差額は、

 

減価償却費も含めた、現時点での法人の財産の総額です。

 

当然ですが、「当期末・・・」と「次期繰越活動・・・」はイコール

 

にはなりません。なぜなら、前者は現金だけですが、後者は現金も

 

含めた財産の総額だからです。

 

以前、都内の社会福祉法人を対象に、ほぼ全数、約1000法人に対して

 

先ほどの整合性をチェックをしたことがありましたが、何と3割の法人で

 

この整合性が取れていませんでした。

 

今では改善されていると思いますが、10年ほど前はそのような状況でした。

  

ただ、この三表の整合性は、あくまで仕訳処理が正しいかどうかの形式上

 

の話であって、各仕訳の内容そのものが正しいかどうかは、また別問題です。

 

決算書の経営分析をしていますと、間違いをよく見かけるのは、「業務委託費」

 

の計上です。「業務委託費」とは、法人内部で職員ができることを敢えて

 

外部業者に委託している場合、その費用を計上する勘定科目ですが、この仕訳

 

が正しくない場合が少なくありません。

 

この「法人内部で職員ができることを敢えて外部業者に委託している場合」

 

という定義をしっかり押えておかないと、外部業者への支払い(費用)は

 

すべて「業務委託費」に計上するという間違いを犯してしまいます。

 

給食を給食業者に委託している場合は、その委託管理費は「業務委託費」に

 

計上しますが、パソコンの保守管理などは、外部業者に委託していたとして

 

も(費用を払っていたとしても)それは「業務委託費」ではなく、「手数料」

 

に計上しなければなりません。

 

われわれのようなコンサルタントへの費用も「業務委託費」ではなく、

 

「手数料」になります。

 

あるいは、はっきり分かるように「コンサルタント費用」として新たに

 

勘定科目を作っても良いかもしれません。

 

繰返しになりますが、「業務委託費」は法人内部で職員ができるか、

 

できないか、そこが線引きになります。

 

給食は、調理員を直接雇用して自前で給食提供できますが、パソコンの

 

保守は、基本的に職員ではできません。

 

口幅ったいですが、コンサル業務も職員にはできない性質の業務です。

 

これらを「業務委託費」に計上してしまうと実際以上に業務委託が膨らんで

 

しまいます。

 

それではなぜ「業務委託費」の計上が、それほど重要なのか。

 

ずばり「業務委託費」は労務コストだからです。

 

「業務委託費」とは、自分達でできる業務を敢えて外部業者に委託する

 

ことで、その人件費を自法人が自腹で賄っている費用です。

 

ですから、職員ができることを敢えて外部に委託している費用だけを

 

「業務委託費」として計上しておかないと、経営判断に狂いが生じます。

 

仮に、人件費率は全国平均より低いが、業務委託費率は全国平均と比べて

 

5%も高い。結果、人件費率と業務委託費を合わせた労務コストが70%を

 

超えている。このような場合、

 

「なぜ、業務委託費が全国平均と比べて高いのか。はたして、どこから

 

どこまでを業務委託費として計上しているのだろうか。」

 

こうした問題意識で決算書を見る必要があります。

 

さて、労務コストの話が出てきましたので、ここで特養等の入所施設の

 

適正な労務コスト費率について考えてみたいと思います。

 

労務コスト費率というのは、人件費率と業務委託費率を合算したものです。

 

介護保険制度が導入されて20年経ちますが、この間、ずーっと見てきて

 

私は、この二つを合算した値は、60%~65%の範囲が適正ではないかと

 

考えています。人件費率が65%でも業務委託費率が0%なら適正です。

 

一方、人件費率は60%でも業務委託費が8%であれば適正値をオーバー

 

します。適正値をMAX65%と考えますと、この場合、3%の利益が

 

外部業者に流失していると考えることもできます。

 

事務員を多機能化して、外部に委託している試算表の作成を自前で行え

 

れば外部委託している費用は、そのまま法人の利益に計上することが

 

できます。あるいは、外部に委託している給与計算を法人の事務員が

 

担うことができれば、その業務委託費部分が法人の利益として残ります。

 

業務委託費率が高いということは、職員配置数にもよりますが、職員が

 

楽をしているという見方もできます。あるいは、人材育成が進まず、

 

多機能化できていないともいえるのではないでしょうか。

 

このように考えますと、利益を増やすためには、人材育成による職員の

 

多機能化も重要なファクターになります。

 

こうしたことが、まさに「生産性を上げる」ということにつながります。

 

 

経営者には、このような視点で決算書をご覧いただき、自法人の課題を

 

深掘りしていただければと思います。

 

以上、何かのご参考になれば誠に幸いです。

 

お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。

 

次の第24号は610日頃に配信致します。

 

 

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