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上司のある一言(第93号)

今から30年位前。その当時、東京赤坂駅前のビルにあったコンサルティング会社に勤めていました。まだ若かった私は、脳天気に、毎日大都会の中心で働けることにウキウキしていたことを覚えています。皆様もご存じだと思いますが、赤坂は料亭の街です。その頃は、国会議員達が料亭で大事な話を決めるので、料亭政治などと揶揄されてたそんな時代でした。ですから、会社の徒歩圏内にもたくさんの料亭がありました。

夜は数万円、いや数十万円も掛かるであろう料亭ですが、お昼時は1500円でランチを出してくれていましたので、気軽に安心して料亭の高級な雰囲気と味を楽しむことができました。それでも当時の昼食代の3倍位の値段ではあったわけですが、だし巻き卵などは恐ろしく美味しかった記憶があります。そうした、私がまだ若くて未熟で脳天気だった頃の話です。

そのコンサル会社には、色々な経歴の人が働いていました。政府系金融機関出身の人、厚労省出身者、県庁で認可関係の仕事をしていた人、病院経営に携わったことのある人、病院の事務長経験者など。その中の一人が当時の私の上司でした。どちらかというと苦手なタイプの人でした。毎日、その上司の指示の元、新しく開設する法人の就業規則を作ったり、自前給食と給食会社による外注委託との費用比較のシミュレーションなどを作成したりしていました。このシミュレーションは、会社のトップ層にも評価され、少し生意気になっていた頃です。ある日、その苦手なタイプの上司から物品のカタログを大量にコピーしてくれという指示が来ました。私は、シミュレーションで成果を出し、トップ層にも評価されているのに、何で今更コピーなんかしなけりゃいけないんだという反発の気持ちもあって、小さい声で「面倒くさいなあ」とつぶやいてしまいました。その時、その上司が言った言葉が私の仕事に対する価値観を根底から覆しました。その上司が言った一言が「仕事は面倒くさいもんだよ」。

学校出てからSEとして15年以上働いていましたので、仕事は標準化や効率化こそが正義であり、仕事をする上では最優先事項だと考えていた私の価値観は音をたてて崩れ去りました。

今、世の中はコスパやタイパという言葉であふれています。確かに費用対効果は大事です。時間当りの生産性も大事でしょう。私もコンサルタントとして費用対効果についてはしばしば言及します。しかし果たしてそれが仕事の本質でしょうか。もしそれだけが仕事で、それを満たすことが良い仕事、能力があるということになったらどうなってしまうのか。何か表面的で底の浅い仕事、言い換えると本質が置き去りにされた仕事に陥ってしまわないだろうかという危惧を感じます。ですからコスパやタイパは、仕事の本質ではないような気がします。

私もあの時、あの上司の一言を聞いていなかったらコスパやタイパを最上と考えていたのではないか。そう考えると怖くなります。あの時、あの一言を聞いたから私はその表面的な落とし穴に落ちないで済んでいるのではないか今でも一筋縄ではいかない仕事に出くわし、心が折れそうになった時には、この言葉を思い出して、根気強く立ち向かうようにしています。

「仕事は面倒くさいもの」。まずは、その気持ちで出発して本質に向き合い、その本質を見極めたうえでコスパ・タイパを模索するというプロセスを踏むことが大事ではないでしょうか。赤坂時代の若かった頃の私のように今でもコスパ、タイパだけを考えて仕事をしていたら・・・。何か大きなものが欠落した仕事人生になっていたような気がします。言葉の力は時としてその人の後の人生にまで影響を与えることがあります。指導者の一言は真に大きいものではないでしょうか。

そのときの上司は、今は社会福祉法人の理事長をされています。直属の上司から法人理事長とコンサルタントいう立場に変った今でも関係が続いています。その理事長からたまに電話が掛かってきます。気がつくと1時間も話をしています。コスパやタイパでは計れない何か深いものを毎回感じています。

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