モラールサーベイで職員の満足度を測る

前回のメルマガでは、モラールサーベイについて触れました。

 

今回は、もう少し掘り下げてみたいと思います。

 

モラールサーベイのモラールは「集団の士気」という意味です。

 

「集団の士気」に対して「個人のやる気」はモチベーションです。

 

また、ちょっと見似てますが、モラル（倫理観）とは別物です。

 

ある集団（組織）に属すると、その組織風土により個々人の感情

 

や態度が影響を受け、その結果、醸成される集団としての感情や

 

態度を「集団の士気」と呼びます。

 

「朱に交われば赤くなる」のたとえが分かり易いでしょう。

 

 

つまり、モラールサーベイとは、集団の士気を探索するという意味です。

 

 

弊社で行っているモラールサーベイは、40項目の質問で構成されています。

 

職員がこの40項目の質問に答えることで、①経営満足②上司満足③利用者満足

 

④労働条件満足⑤職場生活満足の５つの満足度が測定できるようになっています。

 

 

①経営満足を聞く質問では、その一つに、「自施設（法人）は長年勤めても、

 

安心して働ける組織だと思いますか」というものがあります。

 

これに「はい」と答えるか「いいえ」と答えるかで、その職員の経営に対する満足度

 

が分かります。

 

つぎに②上司満足を聞く質問では、その一つとして、「直属の上司は直接、的確な指示

 

を出していますか」というものがあります。

 

これに「はい」と答えるか「いいえ」と答えるかで、その職員の上司や指示命令に

 

対する満足度が分かります。

 

3つ目の利用者満足を聞く質問では、その一つに、「職場では、同僚の中に勝手に

 

ふるまう者がいると思いますか」というものがあります。

 

一見、利用者満足と関係ないように思える質問ですが、職場秩序が良くなければ、

 

利用者満足にはつながらないため、このような質問が入っています。

 

これに「はい」と答えるか「いいえ」と答えるかで、その職員の利用者満足に対する

 

評価が分かります。

 

4つ目の「労働条件満足」を聞く質問では、たとえば、「あなたの賃金は、あなたの

 

仕事ぶりに見合っていると思いますか」というものがあります。

 

これに「はい」と答えるか「いいえ」と答えるかで、その職員の労働条件に対する満足度

 

が分かります。

 

最後の「職場生活満足」を聞く質問では、たとえば、「あなたは今後とも、この施設

 

（法人）で働きたいと思いますか」というものがあります。

 

これに「はい」と答えるか「いいえ」と答えるかで、その職員の職場生活における

 

満足度が分かります。

 

 

このように見てきますと５つの満足の内、４つまでが精神的な満足です。

 

物理的なものは、4つ目の「労働条件満足」だけです。これをどのように考えるか。

 

 

前月号では、モラールサーベイは労働省（現厚生労働省）が、産業心理学や統計学

 

を応用して開発したと書きましたが、人間の労働観は、必ずしも賃金などの物理的

 

報酬だけでは測れないという本質をついているのではないでしょうか。

 

「仕事と人間性」という世界的古典の著者であるフレデリック・ハーズバーグという

 

社会学者は、給料は辞める理由にはなるが、定着する要因にはならないと述べています。

 

このことから、私は職員の定着促進のためには、「労働条件満足」以外の４つの精神的

 

報酬に注力すべきではないかと考えています。

 

 

全国、様々な福祉介護施設でこのモラールサーベイを行いますと、取り組んだ職員さん

 

からは、「自分が今の職場をどのように見ているかがとても良く分かった。他の職員や

 

部下スタッフにもやらせてみたい」という感想を頂きます。

 

 

経営資源は「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、モノやカネの分析は、決算書を経営

 

分析することで可能になりますが、ヒトの分析には、モラールサーベイを活用されると

 

良いでしょう。

 

皆様もモラールサーベイを使って、一度、職員の満足度を分析されることをお勧めします。

 

①モラールサーベイチェックリスト