人事考課に対する誤解 Part2

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人事考課に対する誤解 Part2

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2024/03/11 人事考課に対する誤解 Part2

前号に引き続き、「人事考課に対する誤解」というテーマで書いて

 

みたい思います。

 

前号では、人事考課の目的は、組織の中でのスタッフの価値基準

 

合せること。

 

そして、人事考課は、それ単独ではなく、キャリアパスと連動しな

 

がら人材育成のために行うもの。

 

熱」と「欲」を評価する情意考課が基本であって、能力考

 

は付随的なもの。という3点について述べました。

 

 

今回は、人事考課の導入前後で、職員から上がってくる人事考課に

 

対する疑問や誤解ついて考えてみたいと思います。

 

 

まず一つ目は、「人間が人間を評価できるのか」という疑問の声です。

 

人事考課とは、そもそも、その人の人格や性格を評価するものでは

 

ありません。

 

部下スタッフの勤務上の行動や言動の事実に照らし合わせて、取り

 

組み姿勢や意欲(情意)、また能力を評価するものであって、決し

 

てその人の人格や性格そのものを良いとか悪いとか判別するもので

 

はないという前提があります

 

また、勤務中の行動や言動の事実が評価の対象になりますから、

 

歴や資格、経験年数も関係ありません。

 

そもそも、学歴や資格や経験が加味されて、今の等級に格付けされ

 

ているわけですから、評価の際に、そこでまた学歴や資格等を持ち

 

出すと二重で評価することになってしまいます。

 

その人の等級に照らし合わせて、行動や言動の事実は、果たして

 

級に相応しいものか、基準をクリアしているか、等級基準より優れ

 

ているかという観点で評価することが人事考課ということになります。

 

 

つぎに、「正しい人事考課ができるのか」という疑問です。

 

「正しい」と言っても、自然科学的次元での正しさというより人為の

 

範囲内での正しさであること。

 

人事考課の場合、オリンピック競技のようにストップウオッチで計っ

 

て、0.1秒の違いが成否を分けるような、自然科学的次元での正しさ

 

求められるわけではありません。

 

人が人を評価するわけですから、人為の範囲内で正しければ、それ

 

善しとすることになります。

 

当然そのためには、何をもって評価するかという基準がオープン

 

なっていないといけませんし、さらには、評価する人の評価能力を

 

磨いて行かなければなりませんので、年に1度や2度、定期的に

 

考課者訓練を実施する必要があります。

 

 

3つ目は、人事考課は主観的評価ではないか」というものです。

 

これについても、先ほどの人為の範囲での正しさを求めるもので

 

あって、組織の基準や人事考課のルールにしたがって、考課者が

 

主観で行うのが人事考課ということになります。

 

言うなれば、客観的なルールに従って、上司である考課者が主観

 

評価するものと捉えておいて良いと思います。

 

そのためには、先の考課者訓練も必要ですし、上司である考課者

 

は、客観的基準を理解したうえで、公正公平な評価を行わなけれ

 

ばなりません。えこひいきなどがあれば、人事考課そのものの信

 

頼性が失われますので、考課者の見識が問われることになります。

 

そして、何よりも日頃から部下スタッフに関心を持って、教育指導

 

する姿勢が大事ではないでしょうか。

 

考課者の立場でありながら、利用者のことしか関心がないと、本当

 

の意味で部下スタッフの正しい評価は出来ないと思います

 

 

4つ目は、「人事考課はお互いの反目を招く」という意見です。

 

人事考課が導入されたからといって、急に職場がギスギスするわけ

 

ではありません。日頃から職員同士は、心の中でお互いを評価し合

 

っているのが現実ではないでしょうか。

 

例えば、あの人と一緒の夜勤になると自分ばっかりが忙しい思い

 

するから、一緒の夜勤にはなりたくないとか、そういう話は現場

 

はよく聞かれる話です。

 

 

そして、最後は、「人事考課を入れると処遇に差が生まれる」とい

 

ものです。

 

人事考課自体は、組織内の価値基準合わせや人材育成が目的ですか

 

ら、昇給などで処遇に差をつけるのは、本来別の話です。人事のア

 

セスメント情報として、材育成や価値基準合わせに使えば目的は

 

達成されます。

 

しかしながら、法人施設の方向性や価値基準に合うよう、頑張って

 

働いてれている人と、そうではなく、自分規準だけで働いている

 

人とでは何かしら処遇に差を付けないと、やってもやらなくても変

 

わらないということになって、職場のモラルが保てなくなってしま

 

います。

 

そうしたことを防ぐ意味でも、500円でも1000円でも昇給に差を

 

つけて、しっかり働いてくれる人には、相応に報いるということが

 

必要になります。

 

ただ、実際、昇給で1000円の差をつけたとしても、年間では高々

 

12000円の差しか出ません。仮に評価が低い人が、残業を10時間

 

もやれば解消されてしまうような金でしかない訳です。

 

ところが、人事考課の目的を評価によって処遇に差をつけるもの、

 

人件費をコントロールするための道具だというようなメッセージだけ

 

が全面に強く出てしまうと、こうした不協和音が拡がってしまいます。

 

さっき見たように、残業すればチャラになる程度の差を付けたとし

 

人件のコントロールなどは出来ませんので、こうした考え方、

 

ッセージは「百害あって一利なし」と言えるのではないでしょうか。

 

物事は、目的を間違ってしまうと、上手くいかないようになっています。

 

人事考課も正しい目的のもと、制度を設計する、運用するということが、

 

本当に大事なことではないでしょうか。

 

2回に渡って「人事考課に対する誤解」というテーマで書いてみました。

 

以上、皆様の何かのご参考になれば、誠に幸いです

 

お忙しい中、最後までお読み下さり、有難うございました。

 

次の第70号は、4月10日頃に配信致します。

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くださると、テーマ選定や内容を考える上での参考になりま

すので、お気軽にご返信頂けますと幸いです。

※感想やご意見は、当方の励みになりますので、是非宜しく

お願い申し上げます。

 

 

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